「保育園からはしかの注意喚起のお知らせが来た」「ニュースで麻しんの流行を見て不安になった」――そんなパパ・ママに向けて、この記事では、はしか(麻しん)の基本をやさしく整理します。
実は2026年に入ってから、国内の麻しん報告数は前年を大きく上回るペースで増えています。国立健康危機管理研究機構(旧・国立感染症研究所)の発表によると、2026年4月15日時点の累積報告数は299例で、前年同時期(78例)の約3.8倍にのぼっています(※出典は記事末尾に記載)。
「うちの子は大丈夫?」「どうやって予防すればいいの?」という疑問に、ひとつずつお答えしていきます。
はしか(麻しん)ってどんな病気?
はしかは、麻しんウイルスによって起こる感染症です。「子どもの病気」というイメージがあるかもしれませんが、免疫を持っていなければ大人もかかります。
主な症状の経過
一般的に、感染してから約10〜12日の潜伏期間ののち、次のような経過をたどるとされています。
- カタル期(約2〜4日):38度前後の発熱、咳、鼻水、目の充血など、風邪によく似た症状が出ます。この時期に口の中の頬の内側に「コプリック斑」と呼ばれる白い小さな斑点が現れることがあり、診断の手がかりになります。
- 発疹期(約3〜5日):いったん熱が下がりかけたあと、再び39度以上の高熱とともに、耳の後ろや顔から赤い発疹が広がっていきます。
- 回復期:熱が下がり、発疹は色素沈着を残して徐々に消えていきます。
注意したい合併症
はしかは「発疹が出て終わり」の病気ではありません。肺炎や中耳炎を合併することがあり、まれに脳炎を起こすこともあると報告されています。特に乳幼児や妊婦さん、免疫の弱い方は重症化のリスクが高いとされており、注意が必要です。
感染経路:はしかは「空気感染」する
はしか対策で最も知っておいてほしいのが、感染経路です。はしかは次の3つの経路で感染します。
- 空気感染:感染者の咳やくしゃみで空気中に漂うウイルスを吸い込むことで感染します。同じ部屋にいるだけでうつる可能性があります。
- 飛沫感染:咳やくしゃみのしぶきを直接浴びることによる感染です。
- 接触感染:ウイルスが付いた手で口や鼻に触れることによる感染です。
ポイントは空気感染すること。麻しんウイルスの感染力は非常に強く、手洗いやマスクだけでは予防が難しいとされています。だからこそ、後述する予防接種による備えが大切になるのです。
また、発疹が出る前のカタル期(風邪のような症状の時期)からすでに周囲へ感染させる力があるため、「はしかと気づかないうちに広がる」のがこの病気の怖いところです。
今、どれくらい流行しているの?最新の感染状況を確認できるサイト
「住んでいる地域で流行しているのか知りたい」というときは、公的機関のサイトで最新データを確認するのが確実です。
国立健康危機管理研究機構(JIHS)感染症情報提供サイトでは、全国の麻しん報告数が週ごとに更新されています。ブックマークしておくと安心です。
お住まいの自治体(都道府県の感染症情報センターなど)のサイトでも、地域の発生状況や注意喚起が掲載されることがあります。「○○県 麻しん 発生状況」で検索してみてください。
家庭で気をつけたい3つの注意点

1. 「はしかかも?」と思ったら、受診前にまず電話を
はしかが疑われる症状(高熱+発疹など)があるときに、そのまま病院の待合室に行くと、ほかの患者さんに感染を広げてしまうおそれがあります。受診の前に必ず医療機関へ電話で相談し、指示に従って受診しましょう。
2. 海外渡航や人混みの予定があるときは事前にチェック
海外では麻しんが流行している地域があり、輸入例をきっかけに国内で広がるケースが報告されています。海外旅行や大きなイベントへの参加予定がある場合は、家族の予防接種歴を事前に確認しておくと安心です。
3. 家族全員の「接種歴」を把握しておく
はしかの予防の基本は、ワクチンによって事前に免疫をつけておくことです。お子さんだけでなく、パパ・ママ自身の接種歴も確認しておきましょう。世代によっては接種機会が1回だけだった方や、接種記録が見つからない方もいます。母子健康手帳で確認できるほか、最近はマイナンバーカード(マイナポータル)で予防接種の記録を確認・管理できるようになっています。
予防の基本はMRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)
日本では、麻しん・風しん混合(MR)ワクチンが定期接種として位置づけられており、次の2回を公費(原則無料)で受けられます。
- 第1期:1歳〜2歳の誕生日の前日まで
- 第2期:小学校入学前の1年間(いわゆる「年長さん」の学年)
厚生労働省などの公的機関は、2回の接種により高い割合で免疫の獲得が期待できるとしています。接種のスケジュールや体調面で気になることがある場合は、かかりつけの小児科医に相談してください。
なお、ワクチンの効果や副反応の感じ方には個人差があります。接種にあたっては、自治体からの案内や医師の説明をよく確認しましょう。
接種スケジュールの管理方法や、マイナンバーカード・アプリを使った接種記録の確認方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
👉 関連記事:子どもの予防接種スケジュール管理術|マイナンバーカードとアプリで「打ち忘れ」を防ぐ
よくある質問(Q&A)

Q. 1歳前の赤ちゃんがいます。何に気をつければいい?
A. 定期接種の対象は1歳からのため、それまでは周囲の流行状況に注意し、流行時には人混みを避けるなどの配慮が望ましいとされています。地域で流行が起きている場合などは、自治体や医師から個別の案内が出ることがあるので確認しましょう。
Q. 大人も接種したほうがいい?
A. 接種歴が不明な方や1回しか接種していない世代の方は、抗体検査やワクチン接種について医療機関に相談する選択肢があります。特に妊娠を希望する女性は、妊娠中にワクチンを接種できないため、事前の確認がすすめられています。
Q. はしかにかかったかどうか、すぐわかる?
A. 初期は風邪と区別がつきにくいため、自己判断は困難です。高熱や発疹など気になる症状があれば、電話相談のうえ医療機関を受診してください。
まとめ
- はしか(麻しん)は空気感染する感染力の非常に強い感染症で、手洗い・マスクだけでは防ぎきれない
- 2026年は報告数が前年を大きく上回っており、公的サイトで最新の流行状況を確認できる
- 疑わしい症状があるときは、受診前に医療機関へ電話を
- 予防の基本はMRワクチンの定期接種(1歳と年長の2回)。家族の接種歴の確認も忘れずに
お子さんと家族を守る第一歩は、「正しく知って、記録を確認すること」です。次の記事では、予防接種の打ち忘れを防ぐ管理術を紹介しています。あわせてご覧ください。
👉 子どもの予防接種スケジュール管理術|マイナンバーカードとアプリで「打ち忘れ」を防ぐ
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的な診断や治療をすすめるものではありません。症状がある場合や接種の判断に迷う場合は、必ず医師にご相談ください。
参考文献・出典
- 厚生労働省「麻しん(はしか)」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/measles/index.html - 厚生労働省「麻しん(はしか)に関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/measles_qa.htm - 厚生労働省「MRワクチン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/mr/index.html - 国立健康危機管理研究機構(JIHS)感染症情報提供サイト「麻しん(はしか)の発生状況について」(2026年4月20日付)
https://id-info.jihs.go.jp/relevant-information/measles/20260420-about-situation/index.html - 国立健康危機管理研究機構(JIHS)感染症情報提供サイト「麻疹 発生動向調査」
https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/diseases/measles/graph/index.html
執筆・監修
くすりやきゅー(薬剤師/病院・保険薬局で10年以上勤務)
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