セルフメディケーション税制について知ろう 対象医薬品•条件

コラム

市販薬を買ったとき、レシートに「セルフメディケーション税制対象」と書かれているのを見たことはありませんか?実はこれ、確定申告で税金が安くなる制度なんです。今回は、意外と知られていないセルフメディケーション税制について、わかりやすく解説します。

セルフメディケーション税制とは?

セルフメディケーション税制は、日頃から健康管理に取り組んでいる人が、市販薬(OTC医薬品)を一定額以上購入した場合に、所得控除が受けられる制度です。

適切な健康管理と市販薬の適正な使用を支援する趣旨で設けられた制度で、通常の医療費控除とどちらか一方を選んで申告します(両方同時には使えません)。

これまでの制度は2026年12月31日までに購入した分が対象でしたが、令和8年度の税制改正で2027年以降も続くことになりました。2027年1月からは、スイッチOTC医薬品(後述)は期限の定めがなくなり、それ以外の対象医薬品は2031年12月31日までに購入した分が対象です。

また、2026年6月に公布された健康保険法等の改正で、市販薬と成分が同じ一部の処方薬(OTC類似薬)について、薬剤費の一部を保険外で負担する仕組みがつくられました。2027年3月1日に施行されます。なお、この見直しは、一律に市販薬への切り替えを求めるものではありません。

どんな人が使える?

この制度を利用するには、対象医薬品の購入費について控除を受ける年の1月1日から12月31日までに、申告する本人が「健康の保持増進及び疾病の予防に関する一定の取組」を行っていることが条件です。例えば、2026年分を2027年に申告する場合は、2026年中の取組が必要です。

具体的には、以下のいずれかに該当すればOKです。

  • 健康保険組合などが実施する人間ドック・各種健診
  • 市区町村が健康増進事業として行う健康診査
  • 予防接種(定期接種・インフルエンザワクチンの予防接種)
  • 勤務先で実施する定期健康診断(事業主検診)
  • 特定健康診査(メタボ検診)・特定保健指導
  • 市区町村が健康増進事業として実施するがん検診

毎年の会社の健康診断や、インフルエンザの予防接種も含まれます。いずれか1つを受けていればよく、すべてを受ける必要はありません。

ただし、次のものは「一定の取組」に含まれません。

  • 任意で受けた全額自己負担の健康診査(結果を勤務先や保険者に提出し、定期健康診断や特定健康診査とみなされる場合を除く)
  • 市区町村が独自の予算で住民サービスとして行う健康診査
  • 健診の結果、要再検査・要精密検査となって受けた検査

なお、健診や予防接種にかかった費用そのものは、この税制の控除の対象になりません。

ポイント: 条件を満たす必要があるのは「申告する本人」だけです。配偶者や家族が健診などを受けている必要はありません。

いくら買えば控除になる?

申告する本人が、自分や生計を一にする配偶者・その他の親族のために支払った対象医薬品の購入費の合計が、年間12,000円を超えた部分が控除の対象になります(上限:88,000円)。

購入金額控除額
12,000円以下控除なし
12,000円超〜100,000円購入金額 − 12,000円
100,000円超上限88,000円

※購入金額は、申告する本人が負担した対象医薬品の購入費から、保険金などで補てんされる金額を差し引いた金額です。

購入費は、割引後に実際に支払った税込みの金額で計算します。

厚生労働省の例では、課税所得400万円の人が対象医薬品を年間20,000円購入した場合、8,000円(20,000円−12,000円)が課税所得から控除され、所得税率20%・個人住民税率10%で計算すると、所得税で1,600円、個人住民税で800円の減税効果とされています。所得控除のため、減税額は所得や税率によって異なります。

対象となる医薬品は?

対象は、医師が処方する医療用医薬品から市販薬に転用された「スイッチOTC医薬品」と、一部の効能・効果を持つそれ以外の市販薬(非スイッチOTC医薬品)です。

厚生労働省は、対象となるスイッチOTC医薬品の例として、外用鎮痛消炎薬、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、かぜ薬、鼻炎用薬、アレルギー用薬、胃腸薬、水虫薬、口内炎用薬、禁煙補助薬などを挙げています。ただし、非スイッチOTC医薬品で対象になるのは、外用鎮痛消炎薬・解熱鎮痛薬・鎮咳去痰薬・かぜ薬・鼻炎用薬・アレルギー用薬の効能・効果を持つものに限られます(2026年12月31日まで)。

次のものは対象外です。

  • 緊急避妊薬、ED治療薬
  • L-アスパラギン酸カルシウム、フッ化ナトリウム、メコバラミン、ユビデカレノンを有効成分とするスイッチOTC医薬品(2026年1月1日から対象外)

2027年1月1日からは、次のものが新たに対象に加わります。

  • 非スイッチOTC医薬品の胃腸薬、浣腸薬、瀉下薬、痔疾用薬(外用・内用)、生薬を有効成分とする鎮咳去痰薬
  • 一般用の体外診断用医薬品のうち、排卵日予測検査薬(一般用黄体形成ホルモンキット)、新型コロナウイルス抗原検査キット、新型コロナウイルス/インフルエンザウイルス抗原検査キット(妊娠検査薬、尿糖検査薬、尿タンパク検査薬は対象外)
  • 薬局製造販売医薬品のうち、対象の市販薬と同じ有効成分を含むもの

ただし、非スイッチOTC医薬品のうち、大柴胡湯に基づく医薬品や大柴胡湯を有効成分として含む製剤、ニコチンを含む医薬品は対象外です。

また、防風通聖散に基づく医薬品や防風通聖散を有効成分として含む製剤は、2027年1月1日以降に新しく発売されるものは対象になりません。2026年12月31日までに発売されたものも、対象は2030年12月31日までで、2031年1月1日から対象外になります。

見分け方は簡単!

  • 購入時のレシートや領収書に、セルフメディケーション税制の対象商品である旨が表示されている
  • 医薬品のパッケージに共通識別マークが表示されている場合もある

2027年1月以降の一定期間、新たに対象になる医薬品へのマークの表示や、対象外になる医薬品からのマークの削除が順次行われるため、厚生労働省は、必ずレシートなどの表示で確認するよう呼びかけています。

対象医薬品の詳しい一覧は、厚生労働省のホームページでご確認ください。

申告に必要な書類

確定申告でこの控除を受けるには、以下の書類が必要です。

① セルフメディケーション税制の明細書(確定申告書に添付)

② 一定の取組を行ったことを明らかにする書類(添付は不要・自宅等で5年間保管)

  • インフルエンザ予防接種などの領収書または接種済証
  • がん検診・定期健康診断・特定健康診査などの領収書または結果通知表

書類には、氏名、取組を行った年に加え、保険者・事業者・市区町村の名称、または医療機関の名称もしくは医師の氏名の記載が必要です。勤務先の定期健康診断で「定期健康診断」という名称も勤務先名も記載されていない場合や、特定健康診査で「特定健康診査」という名称も保険者名も記載されていない場合は、勤務先や保険者に証明を依頼する必要があります。

③ 対象医薬品購入時の領収書・レシート(添付は不要・5年間保管)

②と③は申告時に提出する必要はありませんが、確定申告期限等から5年間、税務署から提示や提出を求められる場合があるため、保管しておきましょう。

確定申告の期間は、例年2月中旬から3月中旬です。確定申告をする義務がない方は、確定申告期間に関係なく、対象の年の翌年1月1日から5年間、還付申告(納めすぎた所得税を返してもらう申告)ができます。例えば2026年分は、2027年1月1日から申告できます。ただし、還付を受けられるのは、給与からの源泉徴収などで所得税を納めている場合です。具体的な手続きや税務上の不明点は、お近くの税務署や国税庁のホームページでご確認ください。

通常の医療費控除と、どちらが得?

この制度は通常の医療費控除と選択適用です。どちらが有利かは状況によって異なります。

通常の医療費控除は、1年間に支払った医療費(保険金などで補てんされる金額を除く)が10万円を超えた部分が対象です(総所得金額等が200万円未満の方は、総所得金額等の5%を超えた部分。控除額の上限は200万円)。セルフメディケーション税制は、対象医薬品の購入額が12,000円を超えた部分が対象です(上限88,000円)。

  • 医療機関での治療費や薬代などが多い場合 → 通常の医療費控除が有利なことがある
  • 医療機関への通院はほとんどないが、対象の市販薬をよく使う場合 → セルフメディケーション税制が有利なことがある

一度どちらかを選んで申告すると、あとから更正の請求や修正申告で、もう一方に変えることはできません。両方の金額を計算してから選びましょう。

まとめ

セルフメディケーション税制は、必要な対象医薬品を購入した場合に、一定の条件の下で税負担を軽減できる制度です。

✅ 対象となる健康診断や予防接種などを、控除を受ける年のうちに受けている
✅ 年間の対象医薬品の購入額が12,000円を超えそう
✅ 通常の医療費控除と比べて、どちらが有利か計算した

当てはまる方は、対象医薬品のレシートや健診の結果通知表などを保管し、通常の医療費控除と比較して利用を検討しましょう。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的な診断や治療の代替となるものではありません。気になる症状がある場合や判断に迷う場合は、必ず医師・薬剤師にご相談ください。

参考


執筆・監修

くすりやきゅー(薬剤師/病院・保険薬局で10年以上勤務)
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