かかりつけ薬局のメリットと2026年からの変化を解説

コラム

かかりつけ薬局とは、どの医療機関を受診しても処方箋を持っていく身近な薬局のことです。薬剤師が、患者が使っているすべての薬の情報を一元的・継続的に把握し、薬の管理や説明を行います。

(出典:厚生労働省「患者のための薬局ビジョン」概要)

2026年6月に施行された令和8年度の調剤報酬改定では、かかりつけ薬剤師の評価の仕組みが見直されました。この記事では、薬局を利用する方に向けて、何が変わったのかと、かかりつけ薬局を持つメリットを解説します。

薬局はいま、どう変わろうとしているの?

厚生労働省は2015年に「患者のための薬局ビジョン」を策定し、「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へという方向性を示しました。2025年までにすべての薬局がかかりつけ薬局としての機能を持つこと、2035年までに立地も地域へ移行することを目指すものです。

しかし、厚生労働省の改定資料によると、特定の医療機関からの処方箋が85%以上を占める薬局の割合は、2015年の32.5%から2024年は39.3%に増えました。資料では、目標達成の目処が立たないまま10年が経過したとされています。

そこで2026年6月の改定では、このビジョンを踏まえて、薬局の基本的な報酬(調剤基本料)が見直されました。主な内容は次のとおりです。

  • 特定の医療機関に偏らない薬局(面分業)を進める観点から、一部の調剤基本料を引き上げ
  • 2026年6月1日以降に新規開設する薬局のうち、特定の医療機関からの処方箋の割合(処方箋集中率)が85%を超え、都市部で周辺の薬局数・距離などの条件に該当する場合や、医療機関と同じ敷地・建物内にある場合などを対象に、「門前薬局等立地依存減算」を新設
  • 同じ建物内または同じ敷地内にある複数の医療機関からの処方箋は、受付回数を合算して処方箋集中率を計算
  • 在宅医療に取り組む体制への加算(在宅薬学総合体制加算)の要件を強化し、評価を引き上げ

あわせて、かかりつけ薬剤師の評価も、実績を重視する仕組みに変わりました。

かかりつけ薬剤師の仕組みは何が変わったの?

これまでの「かかりつけ薬剤師指導料」と「かかりつけ薬剤師包括管理料」は廃止されました。代わりに、薬の説明や指導に対する報酬(服薬管理指導料)の中に、「かかりつけ薬剤師が行った場合」の区分が設けられています。

かかりつけ薬剤師は、患者や家族が選ぶ、その薬局の特定の薬剤師です。診療報酬上のかかりつけ薬剤師の制度では、その薬局に複数回来局している患者が、薬剤師本人から役割や業務内容の説明を受け、同意します。同意した際には、お薬手帳の薬剤師の氏名の近くに「かかりつけ」と記入されます。

また、かかりつけ薬剤師が行う次の取り組みに対する加算が新設されました。

加算主な内容算定上限
かかりつけ薬剤師フォローアップ加算調剤後から次回の処方箋受付までの間に、電話などで服薬状況・残薬状況を継続して確認し、個別に必要な指導を行う所定の要件を満たした場合、次回の処方箋受付時に3か月に1回まで
かかりつけ薬剤師訪問加算患者や家族の求めに応じて自宅を訪問し、薬の管理方法の指導や残薬の整理などを行い、結果を医療機関に伝える所定の要件を満たした場合、6か月に1回まで

いずれも、服薬管理指導料の「かかりつけ薬剤師が行った場合」の区分を算定している患者が対象です。実施前に、内容と自己負担額について説明を受け、了解する必要があります。訪問の場合は、交通費についても説明があります。

フォローアップは、患者や家族が希望した場合のほか、かかりつけ薬剤師が必要と判断した場合にも、事前の了解を得て行われます。加算の対象は、直近6か月以内に残薬調整や服薬支援などに関する所定の報酬を算定した患者に限られ、フォローアップによって残薬などの問題が解消した場合は除かれます。ほかにも算定条件があるため、対象になるかは薬局で確認してください。

診療報酬上の「かかりつけ薬剤師が行った場合」の区分を算定するには、薬剤師の経験や勤務体制などについて、所定の要件を満たす必要があります。薬剤師に関する主な要件は次のとおりです。

  • 保険薬局での勤務経験が3年以上あること。保険医療機関で薬剤師としての勤務経験が1年以上ある場合は、その経験を1年を上限に含められます
  • 原則として、その薬局に週31時間以上勤務していること。育児・介護に伴う所定の短時間勤務では、週24時間以上かつ週4日以上などの特例があります
  • その薬局に継続して6か月以上在籍していること
  • 薬剤師認定制度認証機構が認証する研修認定制度などによる、所定の研修認定を取得していること
  • 医療に関わる地域活動に参画していること

「かかりつけ薬局」を持つメリットは?

① 飲み合わせや重複をチェックしてもらえる

かかりつけ薬局では、薬剤師が服用歴や現在使っているすべての薬の情報を一元的・継続的に把握し、処方内容をチェックします。複数の診療科を受診している場合でも、多剤・重複投薬や、飲み合わせによる相互作用の防止につながるとされています。

処方薬だけでなく、市販薬(一般用医薬品)などを含めた服薬情報を把握することも、かかりつけ薬局の機能として示されています。

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② 副作用や効果を続けて確認してもらえる

薬の副作用や期待される効果を、継続して確認してもらえるとされています。過去の服薬情報を知っている薬剤師が相談に乗ることや、開局時間外でも、副作用や飲み間違い、服用のタイミングなどについて電話で相談を受けることが、かかりつけ薬局の機能として示されています。

開局時間外の相談の方法は、利用する薬局に確認してください。

③ 飲み残しや残薬を相談できる

薬剤師の説明で薬への理解が深まり、飲み忘れや飲み残しを防ぐことで、残薬の解消につながるとされています。在宅で療養している方への訪問も、かかりつけ薬局の機能の一つです。

2026年6月の改定では、かかりつけ薬剤師による電話などでの継続的な確認や、自宅訪問による服薬管理・残薬整理などを評価する、専用の加算が新設されました。

お薬手帳はどう活用すればよいですか?

お薬手帳は、服用歴を記載して経時的に管理するものです。医師・薬剤師が確認することで、相互作用の防止や副作用の回避に役立ちます。

  • お薬手帳が何冊もある場合は、1冊にまとめる(かかりつけ薬局では一冊化・集約化を行うとされています)
  • 医師・薬剤師に確認してもらえるよう、受診時や薬局で提示する
  • 電子版お薬手帳はスマートフォンを使うため、持ち歩きやすく、受診時にも忘れにくい

なお、通常の外来で服薬管理指導料を算定する場合、原則3か月以内に同じ薬局を再び利用しても、お薬手帳を提示しないと、45点ではなく59点の区分になります。

お薬手帳の詳しい使い方は「お薬手帳は本当に必要?5つのメリットと電子版・マイナ連携をわかりやすく解説」もあわせてご覧ください。

かかりつけ薬局はどう選べばよいですか?

「患者のための薬局ビジョン」と2026年の改定内容から、次のような点が目安になります。

  • さまざまな医療機関の処方箋を受け付けていて、どの医療機関を受診しても同じ薬局に持っていける
  • 開局時間外の電話相談や、夜間・休日の対応、在宅医療への対応をしている
  • 周りの患者に会話が聞こえにくい、プライバシーに配慮した相談スペースがある
  • 処方薬だけでなく、市販薬も含めて相談できる

かかりつけ薬剤師を選んだ場合は、原則として、選んだ薬剤師が継続して担当します。やむを得ず担当できない場合は、同じ薬局の別の薬剤師が対応し、情報を共有することがあります。かかりつけ薬剤師として指導を行うには、所定の施設基準を満たし、薬局が地方厚生局等に届け出る必要があるため、選べるかどうかは利用する薬局に確認してください。

よくある質問

かかりつけ薬局とかかりつけ薬剤師の違いは?

かかりつけ薬局は、どの医療機関を受診しても利用する身近な薬局のことです。かかりつけ薬剤師は、その薬局の中で患者や家族が選ぶ特定の薬剤師で、継続して一元的に服薬を管理します。

かかりつけ薬剤師指導料はなくなったのですか?

2026年6月の改定で廃止されました。代わりに、服薬管理指導料の中に「かかりつけ薬剤師が行った場合」の区分が設けられ、電話でのフォローアップや自宅訪問に対する加算が新設されています。

かかりつけ薬剤師を選ぶと費用は変わりますか?

通常の服薬管理指導料の基本点数は、かかりつけ薬剤師が担当した場合も、それ以外の場合も同じです。原則として、3か月以内に同じ薬局に再び処方箋を持参し、お薬手帳を提示した場合は45点、それ以外は59点です。

ただし、実施する支援や算定される加算によって、費用の総額は変わります。例えば、残薬調整などの加算には、かかりつけ薬剤師が担当した場合とそれ以外で点数が異なるものがあります。

電話などによるフォローアップや自宅訪問の加算にも、対象患者や実施内容などの条件があります。実施前に、支援内容と自己負担額を薬局で確認してください。

病院ごとに違う薬局を使ってもいいですか?

はい、利用する薬局は自分で選べます。保険診療では、医師(保険医)は処方箋を出す際に、特定の薬局で調剤を受けるよう指示などをしてはならないと定められており、病院ごとに違う薬局を利用することもできます。

複数の薬局を使う場合は、お薬手帳を1冊にまとめて毎回提示し、他の薬局で受け取った薬についても伝えてください。かかりつけ薬剤師がいる場合は、そのことも伝えましょう。

お薬手帳を忘れたらどうなりますか?

通常の外来で服薬管理指導料を算定する場合、原則3か月以内に同じ薬局を再び利用しても、お薬手帳を提示しないと、45点ではなく59点の区分になります。電子版お薬手帳は、スマートフォンを使うため受診時にも忘れにくいとされています。

市販薬のことも相談できますか?

市販薬などを含めた服薬情報を一元的・継続的に把握することが、かかりつけ薬局の機能として示されています。市販薬を選ぶときも、お薬手帳を見せて薬剤師にご相談ください。

まとめ

  • かかりつけ薬局とは、どの医療機関を受診しても利用する身近な薬局で、薬剤師がすべての薬の情報を一元的・継続的に把握する
  • 2026年6月の改定で、かかりつけ薬剤師指導料は廃止され、服薬管理指導料の中の区分と、電話でのフォローアップ・自宅訪問の加算に変わった
  • かかりつけ薬剤師を選んで同意すると、お薬手帳に「かかりつけ」と記入される
  • お薬手帳は1冊にまとめ、毎回提示する
  • かかりつけ薬局では、飲み合わせや重複のチェック、副作用や残薬の相談を受けられるとされている

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的な診断や治療の代替となるものではありません。気になる症状がある場合や判断に迷う場合は、必ず医師・薬剤師にご相談ください。

参考資料・出典


執筆・監修

くすりやきゅー(薬剤師/病院・保険薬局で10年以上勤務)
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