子どもに使える虫除けスプレーとは、「ディート」または「イカリジン」を有効成分とする忌避剤のことで、ディート配合品は生後6か月未満には使用できないなど年齢によるルールが定められています。一方、イカリジン配合品には年齢や使用回数の制限がありません。
「公園遊びで蚊に刺されないようにしたいけれど、赤ちゃんに虫除けスプレーを使っても大丈夫?」——夏が近づくと、こんな不安を抱える保護者の方は少なくありません。
虫除けスプレーは便利な一方で、成分や年齢によって使える・使えないが決まっていることはあまり知られていません。とくに小さなお子さんは肌が薄くデリケートなため、大人と同じ感覚で使うのは少し注意が必要です。
この記事では、子どもに使える虫除けスプレーの選び方を、年齢別のルールや使うときの注意点とあわせて、公的機関の情報をもとにやさしく解説します。
💊 関連記事:もし刺されてしまったときの対処は「子どもの虫刺され薬の選び方|年齢別の注意点と受診の目安」もあわせてご覧ください。
子どもの虫除けスプレーとは?まず知っておきたい基本
子どもの虫除けスプレーとは、蚊やブユ(ブヨ)などの虫が肌に近づくのを防ぐための「忌避剤(きひざい)」のことです。虫を殺すのではなく、虫が嫌がる成分で寄せつけにくくするのが役割です。
市販の虫除けスプレーの有効成分は、大きく分けて次の2種類があります。
- ディート:古くから世界中で使われてきた成分
- イカリジン:比較的新しく、年齢制限がない成分
この2つは効果や使い方のルールが異なります。次の章で詳しく見ていきましょう。
ディートとイカリジンの違いは?子どもにはどっちがいい?
「子どもにはどちらの成分を選べばいいですか?」という質問はとても多いものです。それぞれの特徴を整理しました。
ディートの特徴と年齢制限
ディートは長年の使用実績がある成分で、蚊だけでなくマダニやブユなど幅広い虫に効果が期待できるとされています。国立健康危機管理研究機構(JIHS)国立感染症研究所の資料では、有効成分の濃度によって効力の持続時間が異なり、濃度が高い製品ほど長時間効果が持続するとされています。ただし、子どもへの使用には年齢と回数のルールが定められています。
厚生労働省の安全対策に基づき、ディートを含む製品には次のような使用上の注意が表示されています。
| 対象年齢 | 使用の目安 |
|---|---|
| 生後6か月未満 | 使用しない |
| 生後6か月〜2歳未満 | 1日1回まで |
| 2歳以上〜12歳未満 | 1日1〜3回まで |
さらに、濃度30%の高濃度製品(医薬品)は12歳未満には使用できません。濃度が高いほど効果の持続時間は長くなりますが、その分使える年齢が限られます。
イカリジンの特徴
イカリジンはディートと同等の虫よけ効果があるとされる成分で、大きな特徴として年齢による使用制限や1日の使用回数の制限がありません。ディートと同様に、濃度が高い製品ほど効果が長く持続するとされています。生後間もない赤ちゃんから使えるため、小さなお子さんの日常使いに選ばれることが増えています。
においが少なく衣類などへの影響が出にくいとされる点も、扱いやすさにつながっています。
子どもにはどちらがよいですか?
- 生後6か月未満の赤ちゃん:ディートは使えないため、使うならイカリジンを選ぶことになります(ただし下記の月齢の注意も参照)。
- 公園や散歩など日常使い:年齢・回数の制限がないイカリジンは管理がシンプルです。
- マダニが多い草むらや山・アウトドア:マダニへの効果も期待したい場面では、年齢ルールを守ったうえでディートが選択肢になります。
どちらが「絶対に良い」というものではなく、お子さんの年齢と使うシーンに合わせて選ぶのがポイントです。迷う場合は薬局で薬剤師に相談すると安心です。

何歳から虫除けスプレーを使えますか?
「赤ちゃんは何歳から虫除けスプレーを使えますか?」というのは、もっとも多い疑問のひとつです。年齢の目安を整理します。
- 生後6か月未満:ディートは使用できません。イカリジンには年齢制限が設けられていませんが、月齢が低いうちはスプレータイプの使用自体を慎重にし、蚊帳(かや)・ベビーカーの虫よけネット・薄手の長袖など物理的な方法を優先するのが安心です。製品を使う場合は、対象月齢の表示を必ず確認してください。
- 生後6か月以降:ディートは回数制限を守れば使用可能になります。イカリジンは年齢制限がありません。
- 2歳以降:ディートの使用回数の上限が少し広がります(1日1〜3回まで)。
いずれの場合も、製品パッケージに書かれた対象年齢・使用回数の表示を必ず守ることが大前提です。同じ成分でも濃度によってルールが変わるため、購入時にラベルを確認しましょう。
子どもに虫除けスプレーを使うときの注意点は?
成分のルールを守ったうえで、塗り方にもいくつかのコツと注意があります。これは厚生労働省が示す使用方法の考え方に沿ったものです。
顔まわりへの使い方
- 12歳未満のお子さんには、保護者の管理のもとで使用します。
- ディートを含む製品は、12歳未満のお子さんの顔には使用できません(厚生労働省の使用上の注意による)。
- 顔まわりに使えるかどうかは製品によって異なるため、必ず製品の表示を確認してください。顔に使える製品の場合も、スプレーを顔に直接吹きかけず、いったん大人の手に取ってから、目や口を避けて塗り広げるようにします。
- 目に入ったり、なめたり吸い込んだりしないように注意します。塗った手で目をこすらないようにしましょう。万一目に入った場合は、すぐに大量の水やぬるま湯で洗い流してください。
塗り方のコツ
- 肌の露出している部分に、ムラなくまんべんなく塗ると効果が出やすくなります。塗り残しがあるとそこを刺されることがあります。
- スプレーは肌から少し離して噴霧し、手で広げると均一になります。
- 効果は時間とともに薄れます。汗をかいたときや時間が経ったときは、使用回数の範囲内で塗り直しましょう。
使ったあとのケア
- 帰宅後は、虫除けを塗った部分を石けんなどで洗い流すと、肌への負担を減らせます。
- 肌に赤みやかゆみなどの異常が出た場合は使用を中止し、症状が気になるときは医師や薬剤師に相談してください。
日焼け止めと併用するときは?
日焼け止めと虫除けを両方使う場合は、先に日焼け止めを塗り、あとから虫除けを塗るのが一般的とされています。一体型の製品もありますが、塗り直しの回数が成分ごとに異なるため、それぞれの表示を確認しましょう。

スプレー以外の虫除け方法もある?
虫除けスプレーが使いにくい月齢のお子さんや、肌が敏感なお子さんには、物理的に虫を避ける方法を組み合わせると効果的です。
- 蚊帳やベビーカー・抱っこひも用の虫よけネット
- 通気性のよい薄手の長袖・長ズボンで肌の露出を減らす
- 虫が多い夕方や、水たまり・草むらの近くを避ける
- 衣類の上から使えるタイプの製品を活用する
これらはスプレーの「使いすぎ」を防ぐことにもつながります。
まとめ:子どもの虫除けは「年齢」と「成分」で選ぶ
- 子どもの虫除けスプレーの成分は主にディートとイカリジンの2種類。
- ディートは生後6か月未満は使用不可。6か月〜2歳未満は1日1回、2〜12歳未満は1日1〜3回までで、濃度30%は12歳未満は使えません。
- イカリジンは年齢・回数の制限がなく、小さなお子さんの日常使いに扱いやすい成分です。
- ディートは12歳未満の顔には使用できません。顔に使える製品でも直接スプレーせず、手に取ってから目・口を避けて塗りましょう。帰宅後は洗い流すと安心です。
- 月齢が低い場合は、蚊帳や長袖など物理的な方法も組み合わせましょう。
刺されないための対策をしても、虫刺されはどうしても起きてしまうもの。もし刺されてしまったときの薬の選び方や受診の目安については、「子どもの虫刺され薬の選び方|年齢別の注意点と受診の目安」で詳しく解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q. 赤ちゃんに虫除けスプレーはいつから使えますか?
A. ディートは生後6か月未満には使用できません。イカリジンには年齢制限がありませんが、月齢が低いうちは蚊帳や衣類などの物理的な対策を優先すると安心です。いずれも製品の対象年齢表示を必ず確認してください。
Q. ディートとイカリジンはどちらが子どもに安全ですか?
A. どちらが一概に安全とは言えません。イカリジンは年齢・回数の制限がなく日常使いがしやすい一方、ディートはマダニなど幅広い虫への効果が期待されます。年齢と使うシーンで選び、迷う場合は薬剤師に相談しましょう。
Q. 虫除けスプレーは顔に使ってもいいですか?
A. ディートを含む製品は、12歳未満のお子さんの顔には使用できません。顔に使えるかどうかは製品の表示で確認し、使える製品の場合も直接吹きかけず、いったん手に取ってから目や口を避けて塗り広げてください。12歳未満のお子さんは保護者の管理のもとで使用します。
Q. 1日に何回まで使えますか?
A. 成分と濃度によって異なります。ディート(12%以下)は6か月〜2歳未満で1日1回、2〜12歳未満で1日1〜3回までが目安です。イカリジンには回数の制限はありませんが、塗りすぎには注意しましょう。製品の表示を必ず守ってください。
Q. 日焼け止めと一緒に使えますか?
A. 一般的には先に日焼け止めを塗り、あとから虫除けを塗ります。塗り直しの間隔は成分ごとに異なるため、それぞれの製品表示を確認してください。
Q. 虫除けを塗った後、肌が赤くなりました。どうすればいいですか?
A. 使用を中止して洗い流し、様子をみてください。赤みやかゆみが続く・広がる場合は、医師や薬剤師にご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的な診断や治療の代替となるものではありません。気になる症状がある場合や判断に迷う場合は、必ず医師・薬剤師にご相談ください。
参考文献・出典
- 厚生労働省「ディートを含有する医薬品及び医薬部外品に関する安全対策について」(平成17年8月24日 薬食安発第0824003号) https://www.mhlw.go.jp/topics/2005/08/tp0824-1.html
- 厚生労働省「ディート(忌避剤)の安全性について(薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会資料)」 https://www.mhlw.go.jp/stf2/shingi2/2r9852000000jff9-att/2r9852000000jfmo.pdf
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS)国立感染症研究所「マダニ対策、今できること」(2025年8月更新) https://www.niid.jihs.go.jp/basicresearch/research_department/ent/20250404183820.html
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS)「マダニ対策、今できること」 https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/tick-borne-diseases/tick-prevention/20260624-tick-prevention.pdf
執筆・監修
くすりやきゅー(薬剤師/病院・保険薬局で10年以上勤務)
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