チュアブル錠とは、噛み砕いて(咀嚼して)飲む錠剤のことです。日本薬局方では、錠剤の一種として定められています。
「粉薬は嫌がるけれど、錠剤を丸のみするのはまだ難しい」。そんなときに、医師から噛んで飲む錠剤が処方されたり、市販薬の売り場で見かけたりすることがあります。
ただ、チュアブル錠は「噛めば何でもよい」薬ではありません。飲み方や使える年齢は、それぞれの薬で決められています。この記事では、チュアブル錠の特徴と、子どもに飲ませるときに確認しておきたいことを、公的機関の情報をもとにまとめました。
チュアブル錠とは?普通の錠剤とどう違う?
日本薬局方(第十九改正)では、チュアブル錠を次のように定めています。
- 咀嚼して服用する錠剤である
- 服用時の窒息を防止できる形状とする
これは製剤の形状についての規定であり、窒息が起こらないことを保証するものではありません。
日本薬局方の「錠剤」には、チュアブル錠のほかに、口腔内崩壊錠、発泡錠、分散錠、溶解錠が含まれます。普通の錠剤との大きな違いは、噛んで飲むことを前提にしている点です。
口腔内崩壊錠(OD錠)とはどう違う?
名前が似ていて迷いやすいのが、口腔内崩壊錠です。日本薬局方では、それぞれ次のように定められています。
| 種類 | 日本薬局方の定義 |
|---|---|
| チュアブル錠 | 咀嚼して服用する錠剤 |
| 口腔内崩壊錠 | 口腔内で速やかに溶解又は崩壊させて服用できる錠剤 |
チュアブル錠は「噛む」、口腔内崩壊錠は「口の中で溶かす・崩す」ことが基本です。ただし、実際の飲み方はその薬の指示に従います。たとえば、PMDA(医薬品医療機器総合機構)が公開している、子ども向けに処方されるチュアブル錠の患者向医薬品ガイドでは、「口の中で溶かすか、かみくだいて飲んでください」とされています。
チュアブル錠は何歳から使える?
使える年齢は、チュアブル錠かどうかではなく、それぞれの薬の用法・用量で確認します。
たとえば、前述の患者向医薬品ガイドの処方薬では、通常の使い方が「6歳以上の小児では、1日1回1錠を就寝前に飲みます」とされています。また、このガイドでは、飲む量は症状などにあわせて医師が決めるとされています。この年齢は例として挙げた薬のものであり、チュアブル錠全体に共通するものではありません。
年齢や量は、次の方法で確認してください。
- 病院の薬:処方した医師、または薬を受け取った薬局の薬剤師に確認する
- 市販薬:添付文書(薬の説明書)の用法・用量を読み、わからなければ薬剤師や登録販売者に相談する
以前に残った薬を、自己判断で飲ませるのはやめましょう。国立成育医療研究センターは、病院で処方された薬は子どもの体重やその時の症状に合わせて調整しているため、勝手に判断して薬を飲むことは危険だとしています。
また、「薬の知識」は、処方された薬は症状や体質に合わせたものであり、症状が似ているからといって絶対に他の人にあげないよう呼びかけています。きょうだいに処方された薬も、自己判断で飲ませないでください。
チュアブル錠はどうやって飲ませる?
飲ませ方の基本は、その薬で指示された飲み方に従うことです。病院の薬なら薬局で受け取る説明書、市販薬なら添付文書に書かれています。
厚生労働省と日本薬剤師会の「薬の知識」は、薬の説明書には正しい使い方や副作用、保管上の注意が書かれているとして、必ずよく読んでから使用し、説明書を保存しておくよう呼びかけています。
飲ませるときは、次の点を意識しておきましょう。
- 指示された回数・量・タイミングで飲ませる
- 噛み砕く・口の中で溶かすなど、説明書に書かれた飲み方を守る
- 丸のみ、割る、砕いて食べ物に混ぜるなど、説明書や医師・薬剤師の指示と異なる飲ませ方は自己判断でしない
- 子どもがひとりで飲むのではなく、保護者が飲み終わるまで見守る
薬を飲むタイミング(食前・食後・就寝前など)の意味は、薬を飲むタイミングの記事で解説しています。
噛めない・嫌がるときはどうすればいい?
うまく噛めない、味を嫌がって吐き出してしまう。そんなときは、自己判断で砕いたり食べ物に混ぜたりする前に、処方した医師や薬剤師に相談してください。ほかの飲み方や薬に変えられないかも含めて、相談できます。
市販薬の場合も、購入した店舗の薬剤師や登録販売者に相談できます。「薬の知識」は、薬のことで困ったことがあれば、小さなことでも薬剤師や登録販売者などの専門家に相談するよう呼びかけています。
粉薬やシロップを嫌がるときの飲ませ方や、食べ物に混ぜるときの注意点は、子どもが薬を嫌がるときの飲ませ方の記事で解説しています。
チュアブル錠の保管は?誤飲を防ぐには?
「薬の知識」は、誤飲を防ぐために薬を子どもの手が届きにくいところに置き、飲んだ後の戻し忘れにも気をつけるよう呼びかけています。前述の患者向医薬品ガイドの処方薬でも、保管方法として、光と湿気を避けて室温(1〜30℃)で保管し、子供の手の届かないところに保管するよう記載されています。保管の条件は薬ごとに説明書で確認し、使った後は決めた場所に戻しましょう。
日本中毒情報センターは、意識がない、けいれんを起こしているなど、重篤な症状がある場合は、直ちに救急車を呼ぶよう案内しています。このような場合は、すぐに119番に連絡してください。
それ以外の場合で、子どもが薬を誤って飲んだときは、「子どもの状態」「薬の名称」「飲んだ量」を確認したうえで、すぐに専門の相談機関に連絡し、必要に応じて医療機関を受診してください(「薬の知識」より)。「薬の知識」では、相談機関の一例として次の窓口が紹介されています。
- 子ども医療電話相談(休日・夜間):#8000
- 中毒110番・電話サービス(一般専用、365日24時間対応):大阪中毒110番 072-727-2499/つくば中毒110番 029-852-9999
家庭での保管方法は家庭での薬の正しい保管方法の記事で、誤飲したときの対応は子どもの薬の誤飲の記事で詳しく解説しています。
ほかの薬と一緒に使うときの注意は?
国立成育医療研究センターは、ほかの病院でもらった薬と一緒に飲ませるときについて、受診時に必ず現在飲んでいる薬を医師に伝えるよう呼びかけています。同じ薬が処方されると必要以上の量を飲むことになり、副作用が出現する可能性があるためです。また、薬によっては、一緒に飲むとほかの薬の効果を強くしたり弱くしたりすることもあります。
市販薬も同じです。「薬の知識」は、複数の薬を使用している場合、飲み合わせが悪いと薬が効きすぎたり、反対に効果が十分に得られなかったりすることがあるとしています。今使っている薬や、とる可能性のあるサプリメントなどを、医師や薬剤師に伝えましょう。
伝え漏れを防ぐには、お薬手帳が役立ちます。「薬の知識」は、お薬手帳をひとつにまとめて継続して記録すること、自分で購入した薬を飲んだときも記入することを勧めています。お薬手帳の使い方や電子版については、お薬手帳のメリットの記事で解説しています。
なお、国立成育医療研究センターは、病院の薬が効かないと感じたときも市販薬に替えるのではなく、病院の薬をきちんと飲み、効果が見られないときは医師に相談するよう呼びかけています。
医師・薬剤師に相談したほうがいいのはどんなとき?
次のようなときは、使う前や使っている途中に、医師・薬剤師に相談してください。
- 使える年齢や量がわからないとき、噛めない・飲めないとき
- ほかの薬(病院の薬・市販薬)やサプリメントを使っているとき
- アレルギーがある、過去にひどい副作用を経験したことがある、医師の治療を受けているとき(「薬の知識」は、こうした人は専門家に相談してから使用するよう呼びかけています)
- 薬を使って普段と違う様子や異常を感じたとき(「薬の知識」は、すぐに医師や薬剤師などの専門家に相談するよう呼びかけています)
- 市販薬を使って体調が悪くなったとき、標準的な期間使っても効果が見られないとき(「薬の知識」は、速やかにかかりつけの医師や薬剤師に相談するよう呼びかけています)
相談するときは、「何という薬を、どのくらいの量・期間使用し、どのような症状が出たか」を説明できるようにしておくと伝わりやすくなります(「薬の知識」より)。
よくある質問(FAQ)
Q. チュアブル錠を噛まずに丸のみしてもいいですか?
A. 自己判断で丸のみさせず、その薬の説明書に書かれた飲み方に従ってください。日本薬局方では、チュアブル錠は咀嚼して服用する錠剤とされています。噛めない場合は、処方した医師や薬剤師に相談してください。
Q. チュアブル錠は水なしで飲めますか?
A. 水を使うかどうかも含め、その薬の説明書に書かれた飲み方に従ってください。説明書でわからない場合は、薬剤師に確認してください。
Q. 半分に割ったり、砕いて食べ物に混ぜたりしてもいいですか?
A. 説明書にない飲み方は、自己判断でしないでください。割る・砕く・混ぜるなどしてよいかは薬によって確認が必要なため、処方した医師や薬剤師に相談してください。
Q. 薬を吐き出したり、飲んだ後に吐いたりしました。もう一度飲ませるべきですか?
A. もう一度飲ませるかどうかは自己判断で決めず、処方時に指示があればそれに従い、なければ処方した医師や薬局に相談してください。相談するときは、薬の名前、飲ませた時刻、吐いた時刻、そのあとの様子を伝えると話が早くなります。
Q. 飲ませ忘れたときはどうすればいいですか?
A. 2回分をまとめて飲ませないでください。飲み忘れたときの対応は、薬の種類によって異なる場合があるため、その薬の説明書や処方時の指示に従ってください。わからない場合は、医師・薬剤師に確認しましょう。「薬の知識」は、薬を受け取るときに、飲み忘れたときの対応方法を専門家に聞いておくよう呼びかけています。
Q. 病院でもらったチュアブル錠と市販薬を一緒に使ってもいいですか?
A. 自己判断で併用せず、医師や薬剤師に相談してください。国立成育医療研究センターは、同じ薬が重なると必要以上の量を飲むことになり、副作用が出現する可能性があるとしています。市販薬もお薬手帳に記録しておき、相談のときに見せましょう。
Q. チュアブル錠とOD錠(口腔内崩壊錠)は同じものですか?
A. 日本薬局方では別のものとして定められています。チュアブル錠は「咀嚼して服用する錠剤」、口腔内崩壊錠は「口腔内で速やかに溶解又は崩壊させて服用できる錠剤」です。実際の飲み方は、それぞれの薬の説明書に従ってください。
まとめ
- チュアブル錠は、噛み砕いて飲む錠剤。口の中で溶かす口腔内崩壊錠とは、日本薬局方で別のものとして定められている
- 使える年齢や量、飲み方は薬ごとに決められている。説明書を読み、わからなければ医師・薬剤師に確認する
- 丸のみ・割る・砕いて混ぜるなど、説明書にない飲み方は自己判断でしない
- 子どもの手の届きにくいところに保管し、飲んだ後の戻し忘れに注意する
- ほかの薬と一緒に使うときは、お薬手帳を見せて医師・薬剤師に相談する
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的な診断や治療の代替となるものではありません。気になる症状がある場合や判断に迷う場合は、必ず医師・薬剤師にご相談ください。
参考文献・出典
- 厚生労働省「日本薬局方」ホームページ(第十九改正日本薬局方〈令和8年4月10日厚生労働省告示第193号〉 製剤総則 1.1 錠剤、1.1.1 口腔内崩壊錠、1.1.2 チュアブル錠) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000066530.html
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)患者向医薬品ガイド(一般名:モンテルカストナトリウム チュアブル錠5mg、2019年4月更新) https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/GUI/231099_4490026F1044_2_00G.pdf
- 厚生労働省・日本薬剤師会「薬の知識」(令和8年度「薬と健康の週間」パンフレット) https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001746129.pdf
- 公益財団法人 日本中毒情報センター「中毒事故が起こったら(家庭でできること、やってはいけないこと)」 https://www.j-poison-ic.jp/general-public/response-to-a-poisoning-accident/at-home/
- 国立成育医療研究センター「お薬Q&A」 https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/medicine/
執筆・監修
くすりやきゅー(薬剤師/病院・保険薬局で10年以上勤務)
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