インフルエンザの予防接種はいつ受ける?子どもは2回必要?時期・回数・効果を薬剤師が解説

コラム

インフルエンザの予防接種とは、そのシーズンに流行が予測されるウイルスをもとに作られたワクチンを接種し、発病や重症化を防ぐことを目的とした予防接種です。厚生労働省は「12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましい」としています。

毎年この時期になると、「いつ予約すればいい?」「子どもは2回って本当?」「打っても結局かかるのでは?」といった疑問が出てきます。2026年は8月28日に全国で流行入りが発表され、例年より早い立ち上がりになっているぶん、迷っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、接種の時期・回数・効果・費用・副反応を、厚生労働省の情報をもとに整理しました。いま流行していて熱が出たときの対応は、全国でインフルエンザが流行入り。受診・薬・登園の目安にまとめています。

予防接種はいつ受ければいいですか?

厚生労働省は接種時期について、次のように説明しています。

「日本では、インフルエンザは例年12月〜3月頃に流行し、例年1月末〜3月上旬に流行のピークを迎えますので、12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましいと考えられます」

多くの医療機関では秋ごろから接種が始まります。ポイントは、13歳未満のお子さんは2回接種が必要だという点です。1回目を先延ばしにすると12月中旬に間に合わないことがあるため、逆算して秋のうちに1回目を済ませられるよう予定を立てておくと安心です。かかりつけの小児科の予約開始時期を9月ごろに確認しておくと、段取りがぐっと楽になります。

なお、今シーズンのように流行の立ち上がりが早くても、厚生労働省が示す接種時期の考え方そのものは変わっていません。接種を早めるべきかどうか迷う場合は、かかりつけの医師にご相談ください。

子どもは何回受ける?1回の量は?

厚生労働省は、日本での接種量と接種回数を次のように示しています。

年齢1回量回数
6か月以上3歳未満0.25mL2回
3歳以上13歳未満0.5mL2回

13歳以上については、1回接種で2回接種と同等の抗体価の上昇が得られるとの報告があるとされ、定期接種は1回接種です。

うっかりしやすいのが誕生日をまたぐケースですが、厚生労働省は「1回目の接種時に12歳で2回目の接種時に13歳になっていた場合でも、12歳として考えて2回目の接種を行っていただいて差し支えありません」としています。2回目までの間隔は医療機関の指示に従ってください。

ワクチンにはどのくらい効果があるの?

まず前提として、インフルエンザワクチンは「絶対にかからなくなる薬」ではありません。厚生労働省は、感染そのものを完全に抑える働きはないとしたうえで、「発病」を抑える効果が一定程度認められているとし、次の数値を示しています。

  • 65歳以上の高齢者福祉施設の入所者では、34〜55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があった(国内の研究)
  • 6歳未満の小児を対象とした2015/16シーズンの研究では、発病防止に対する有効率は60%
  • 乳幼児では、報告によって幅があるものの、概ね20〜60%の発病防止効果があったとの報告

厚生労働省は「発病を予防することや、発病後の重症化や死亡を予防することに関しては、一定の効果があるとされています」とまとめています。効果の感じ方には個人差がありますので、接種を受けるかどうかはかかりつけの医師とよく相談のうえ判断してください。

去年打ったので今年は受けなくていい?

厚生労働省は、ワクチンはそのシーズンに流行することが予測されると判断されたウイルスを用いて製造されているため、「昨年、インフルエンザワクチンの接種を受けた方であっても、今年のインフルエンザワクチンの接種についてご検討ください」としています。

費用はいくらかかる?公費で受けられるのは誰?

厚生労働省は「予防接種は病気に対する治療ではないため、健康保険が適用されません。原則として全額自己負担となり、費用は医療機関によって異なります」と説明しています。金額は医療機関ごとに設定されているため、事前に確認しておくと安心です。

一方で、次の方は予防接種法に基づく定期接種の対象で、費用が市区町村によって公費負担されている場合があります。

  • 65歳以上の方
  • 60〜64歳で、心臓・じん臓もしくは呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活を極度に制限される方
  • 60〜64歳で、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方

実施期間や費用、助成の有無は自治体によって異なります。お住まいの市区町村(保健所・保健センター)やかかりつけ医にお問い合わせください。

家族の接種歴は記録が散らばりがちです。マイナポータルで確認する方法は予防接種スケジュールの管理でまとめています。

受けられない人・注意が必要な人は?

厚生労働省は、次に該当する方は予防接種を受けることが適当でない、または注意を要するとしています。定期接種であっても、希望すれば必ず受けられるわけではありません。

受けられない場合の例

  • 明らかな発熱を呈している方
  • 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな方
  • 接種液の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな方

接種前に医師への相談が必要とされている方の例

  • 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患がある方
  • 過去にけいれんの既往がある方
  • 過去に免疫不全の診断がされている方、近親者に先天性免疫不全症の方がいる方
  • 本剤の成分または鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のものに対してアレルギーを呈するおそれのある方

当てはまるかどうか判断がつかないときは、自己判断で見送らず、まず医療機関で相談してください。

接種のあとに気をつけることは?

厚生労働省によると、季節性インフルエンザワクチンで比較的多くみられる副反応は、接種した場所の赤み(発赤)・はれ(腫脹)・痛み(疼痛)で、接種を受けた方の10〜20%に起こり、通常2〜3日で消失するとされています。発熱、頭痛、寒気、だるさなどの全身性の反応は5〜10%に起こり、こちらも通常2〜3日で消失するとされています。

まれにショックやアナフィラキシー様症状(発疹、じんましん、かゆみ、呼吸困難等)がみられることもあります。これらは接種後、比較的すぐに起こることが多いことから、接種後30分間は接種した医療機関内で安静にするなどの対応がとられます。接種当日は無理な予定を入れず、帰宅後も様子を見られる時間を確保しておくと安心です。

なお、万一の健康被害に対しては、定期接種は予防接種法に基づく健康被害救済制度、任意接種は医薬品副作用被害救済制度という仕組みが用意されています。

鼻から接種するタイプのワクチンもあるの?

厚生労働省は「小児及び若年者のインフルエンザの予防を目的として、経鼻弱毒生ワクチンが2023年に薬事承認されました」と説明しています。注射ではなく鼻にスプレーするタイプで、薬事承認申請時の資料によると発病予防効果は28.8%とされています。

不活化ワクチン(注射)と異なり生ワクチンのため、接種によってインフルエンザを発病することがあり、その頻度は1.8%とされています。対象年齢や、お子さんが受けられるかどうかは医療機関によって取り扱いが異なりますので、希望する場合はかかりつけ医にご確認ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 予防接種はいつごろ予約すればいいですか?

A. 厚生労働省は「12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましい」としています。13歳未満は2回接種のため、秋のうちに1回目を済ませる必要があります。予約開始時期は施設ごとに異なるので、9月ごろの確認をおすすめします。

Q. 今年は流行が早いようですが、接種も早めるべきですか?

A. 厚生労働省が示す「12月中旬までに終える」という考え方は変わっていません。ただ、13歳未満のお子さんは2回接種が必要なので、早めに1回目の予定を立てておくと余裕をもって間に合わせられます。個別の判断はかかりつけの医師にご相談ください。

Q. 2回目を受けそびれました。1回だけでも意味はありますか?

A. 厚生労働省は、13歳未満について「1回接種後よりも2回接種後の方がより高い抗体価の上昇が得られる」ことから2回接種としています。受けそびれた場合にどうするかは、お子さんの年齢や時期によって変わりますので、接種を受けた医療機関にご相談ください。

Q. 卵アレルギーがあると受けられませんか?

A. 厚生労働省は「本剤の成分または鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のものに対してアレルギーを呈するおそれのある方」を、接種にあたって注意が必要であらかじめ医師に相談する方として挙げています。受けられないと決まっているわけではないので、自己判断せず医療機関にご相談ください。

Q. ワクチンを打つとインフルエンザにかかりますか?

A. 厚生労働省は、注射の不活化ワクチンについては「ワクチン接種によってインフルエンザを発病することはありません」としています。一方、経鼻弱毒生ワクチンは発病することがあり得るとされ、その頻度は1.8%と説明されています。

Q. 熱があるときでも接種できますか?

A. 厚生労働省は「明らかな発熱を呈している者」を予防接種の対象者から除かれる者として挙げています。接種の可否はその日の体調によって医師が判断しますので、当日に発熱や体調不良があるときは、まず医療機関にご連絡ください。

まとめ

  • 厚生労働省は「12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましい」としています
  • 13歳未満は2回接種(6か月以上3歳未満は0.25mL、3歳以上13歳未満は0.5mL)。逆算して秋のうちに1回目を
  • 効果は「絶対にかからない」ものではなく、発病と重症化・死亡の予防に一定の効果があるとされています
  • 予防接種は保険適用外で原則全額自己負担。65歳以上の方などは定期接種の対象で、助成の有無は市区町村により異なります
  • 接種後30分は医療機関内で安静に。当日は無理な予定を入れないでおくと安心です

接種を受けるかどうか、いつ受けるかは、お子さんや家族の状況によって最適解が変わります。迷ったときは、かかりつけの医師や薬剤師にご相談ください。

ワクチンで備えられる感染症がある一方で、家庭の備えでしのぐ場面もあります。発熱したときに家に何があるかで動きやすさは変わりますので、家庭の感染症そなえリストもあわせてご確認ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的な診断や治療の代替となるものではありません。気になる症状がある場合や判断に迷う場合は、必ず医師・薬剤師にご相談ください。

参考文献・出典

執筆・監修

くすりやきゅー(薬剤師/病院・保険薬局で10年以上勤務)
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