風邪をひいたらどの薬を選ぶ?セルフメディケーション対応の風邪薬ガイド

市販薬の選び方

風邪の季節になると、ドラッグストアの棚にずらりと並ぶ風邪薬。「どれを選べばいいの?」と迷ったことはありませんか?

実は、薬の選び方にはちょっとしたコツがあります。また、セルフメディケーション税制の対象になっている風邪薬もあり、条件を満たせば購入費が所得控除の対象になります。

この記事では、市販の風邪薬を選ぶときのポイントをわかりやすく解説します。

そもそも「セルフメディケーション」って何?

セルフメディケーション(Self-Medication)とは、世界保健機関(WHO)において「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当すること」と定義されている考え方です。

ただし、市販の風邪薬で対処するのが適さない場合もあります。どんなときに受診したほうがよいかは、後半の「こんなときは病院へ!」で紹介します。

また、2026年6月に公布された健康保険法等の改正で、市販薬と成分が同じ一部の処方薬(OTC類似薬)について、薬剤費の一部を保険外で負担する仕組みがつくられました。2027年3月からの施行が予定されています。なお、この見直しは、一律に市販薬への切り替えを求めるものではありません。

知っておきたい!「セルフメディケーション税制」

セルフメディケーション税制とは、スイッチOTC医薬品などの対象医薬品を年間12,000円を超えて購入した場合、超えた分(最大88,000円まで)を所得から差し引ける制度です。通常の医療費控除との選択適用で、同じ年分に両方を使うことはできません。2017年に始まった制度で、現在は2026年12月31日までに購入した分が対象です。2026年度の税制改正により2027年以降も続くことが決まっており、対象となる医薬品の範囲も見直されます。

関連記事:セルフメディケーション税制について知ろう 対象医薬品•条件

どんな薬が対象?

対象となるのは、主に「スイッチOTC医薬品」と呼ばれる薬です。これは、もともと医師が処方する医療用医薬品の成分が、市販薬(OTC医薬品)として転用されたもの。このほか、かぜ薬・解熱鎮痛薬・鎮咳去痰薬などの効能をもつ一部の市販薬も対象です。対象の品目は、厚生労働省が公表している対象品目一覧で確認できます。

対象かどうかは、購入時のレシートなどの表示で確認してください。一部の対象医薬品には、パッケージに共通識別マークが表示されています。ただし、2027年1月以降の一定期間はマークの表示が順次見直されるため、厚生労働省は、必ずレシートなどの表示で確認するよう呼びかけています。

申告に必要なもの

  • 申告する本人が、その年に、勤務先の定期健康診断、特定健康診査、定期接種・インフルエンザの予防接種、市区町村のがん検診など、制度で定められた取組のいずれかを受けていること(任意に全額自己負担で受けた健診などは対象外)
  • 確定申告書に「セルフメディケーション税制の明細書」を添付して申告すること
  • 対象医薬品のレシート(商品名・金額・購入日などが記載されたもの)と、健診・予防接種の領収書や結果通知表などを保管しておくこと(添付は不要ですが、確定申告期限等から5年間、税務署から提示や提出を求められる場合があります)

レシートは捨てずに保管しておくことが大切です!制度の詳しい条件や手続きは、国税庁の公式サイトや最寄りの税務署でご確認ください。

「スイッチOTC」ってどんな薬?

「スイッチOTC(Switch OTC)」とは、医療機関でしか処方されなかった有効成分を、一般の薬局・ドラッグストアで購入できるようにした市販薬のことです。風邪薬の分野でも、スイッチOTC医薬品の成分を含む製品が販売されています。

たとえば:

  • イブプロフェン(解熱・鎮痛)
  • カルボシステイン(去痰)
  • ロキソプロフェン(解熱・鎮痛)

これらはいずれも、厚生労働省のスイッチOTC医薬品有効成分リストに掲載されている成分です。

症状別!風邪薬の選び方

風邪薬を選ぶときの一番のポイントは、「自分の症状に合った薬を選ぶ」こと。かぜ薬は、ウイルスの増殖を抑えたり、ウイルスを体内から除去したりするものではなく、症状を和らげるための薬です。

風邪だからといって、必ずしも総合風邪薬を選ぶのが最適とは限りません。発熱、せき、鼻水など症状がはっきりしている場合は、症状を効果的に和らげるため、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、鼻炎を緩和させる薬などを選ぶことが望ましいとされています。存在しない症状に対する不要な成分が配合されていると、副作用のリスクを無意味に高めることになるためです。

かぜの基本は、安静にして休養し、栄養・水分を十分にとることです。

① 熱がある・頭が痛い・のどが痛い

こんなときは熱を下げたり痛みを和らげる「解熱鎮痛成分」に注目しましょう。

イブプロフェン(Ibuprofen)

アスピリンなどに比べて胃腸への悪影響が少なく、抗炎症作用もあることから、頭痛やのどの痛みなどに使われることが多い成分です。

  • 市販薬では、15歳未満の小児はいかなる場合も使用できません
  • 胃・十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、クローン病にかかったことがある方は、再発を招くおそれがあります
  • 出産予定日12週以内の妊婦は服用しないこととされています。それ以外の時期でも、妊娠中または妊娠していると思われる方は、服用前に医師・薬剤師に相談してください
  • かぜ薬や解熱鎮痛薬を使ってぜんそくを起こしたことがある方は、服用しないでください

アセトアミノフェン(Acetaminophen)

主に中枢に作用して熱を下げ、痛みを和らげる成分です。末梢で炎症を抑える作用は期待できませんが、そのぶん、ほかの解熱鎮痛成分のような胃腸障害は少ないとされています。空腹時に服用できる製品もありますが、服用のタイミングは使用する製品の添付文書に従ってください。

  • まれに皮膚・肺・腎臓・肝臓などに重い副作用が起こることがあり、定められた用量を超えて使用した場合や、日頃からお酒をよく飲む方で起こりやすいとされています
  • 子どもの解熱に使う坐薬もあります。坐薬も飲み薬と成分・作用が重なることがあるため、解熱鎮痛薬やかぜ薬と自己判断で併用しないでください
  • かぜ薬や解熱鎮痛薬を使ってぜんそくを起こしたことがある方は、服用しないでください。妊娠中または妊娠していると思われる方は、服用前に医師・薬剤師に相談してください

ロキソプロフェン(Loxoprofen)

医療用から転用されたスイッチOTC成分の一つです。ロキソプロフェンを含む市販の飲み薬は、現在、第1類医薬品です(2026年7月、厚生労働省の安全対策調査会で、指定第2類医薬品への区分変更が審議されました)。

厚生労働省の審議資料に掲載されている代表的な製品の添付文書では、「してはいけないこと」として次の内容が記載されています。

  • 15歳未満の小児は服用しない
  • 出産予定日12週以内の妊婦は服用しない
  • 解熱鎮痛薬やかぜ薬を服用してぜんそくを起こしたことがある方は服用しない
  • 医療機関で胃・十二指腸潰瘍、肝臓病、腎臓病、心臓病の治療を受けている方、医師から貧血や血小板・白血球の減少などの血液の異常を指摘されている方は服用しない
  • 服用している間は、ほかの解熱鎮痛薬、かぜ薬、鎮静薬を服用しない

注意点は製品によって異なる場合があるため、実際に使う製品の添付文書を確認してください。購入の際は、薬剤師に症状や持病、ほかに使っている薬を伝えて相談しましょう。

② 鼻水・くしゃみがつらい

こんなときは「抗ヒスタミン成分」に注目しましょう。

クロルフェニラミン・d-クロルフェニラミン

くしゃみや鼻水を抑える抗ヒスタミン成分で、かぜ薬や鼻炎用内服薬に配合されています。

  • 眠気が出ることがあり、重大な事故につながるおそれがあるため、服用後は乗り物や機械類の運転操作をしないでください
  • 口の渇きや排尿困難などが現れることがあります。排尿困難の症状がある方、緑内障と診断された方は、使用前に医師・薬剤師に相談してください

花粉症の飲み薬に使われる成分の種類や、眠気・運転についての考え方、かぜ薬と一緒に飲むときの注意点については「花粉症の市販薬(飲み薬)はどう選ぶ?成分の種類と、眠気・運転の注意点」で詳しく解説しています。

③ 鼻づまりがつらい

こんなときは「アドレナリン作動成分」に注目しましょう。鼻粘膜の血管を収縮させて、鼻粘膜の充血や腫れを和らげる成分で、かぜ薬や鼻炎用内服薬、点鼻薬に配合されています。

プソイドエフェドリン(飲み薬)

  • 不眠や神経過敏、めまい、頭痛、排尿困難が現れることがあります
  • 心臓病、高血圧、糖尿病、甲状腺機能障害と診断された方、前立腺肥大による排尿困難の症状がある方は、症状を悪化させるおそれがあるため使用を避ける必要があります
  • パーキンソン病の治療でセレギリン塩酸塩などの薬を使っている方は、副作用が現れやすくなるおそれがあるため使用を避ける必要があります
  • 依存性がある成分で、長期間続けて使うと薬物依存につながるおそれがあります。2026年5月から「指定濫用防止医薬品」の対象成分になっています

ナファゾリン・テトラヒドロゾリンなど(点鼻薬)

  • 使いすぎると鼻粘膜の血管が反応しなくなり、逆に血管が広がって、鼻づまりがひどくなりやすくなります(二次充血)
  • 鼻の中に使う薬でも、成分が鼻粘膜の血管から吸収されて血液中に入りやすく、全身に影響することがあります

点鼻薬のタイプごとの違いや、使いすぎてしまったときの対処、相談の目安については「花粉症の点鼻薬はどう選ぶ?タイプ別の違いと、使いすぎたときに起こること」で詳しく解説しています。

④ たんが絡む・たんが切れにくい

こんなときは「去痰成分」に注目しましょう。

ブロムヘキシン(Bromhexine)

気道の粘液の分泌を促したり、たんを分解して粘り気を減らしたり、気道の線毛の動きを促したりして、たんを出しやすくする成分です。

カルボシステイン(Carbocisteine)

たんの中の粘り気のあるたんぱく質を分解して粘り気を減らしたり、粘液の成分の割合を整えたりして、たんの切れをよくする成分です。

⑤ せきが出る

こんなときは「鎮咳成分」に注目しましょう。

ジヒドロコデイン

脳(延髄)の咳中枢に作用してせきを抑える成分です。

  • 依存性がある成分で、長く使い続けたり大量に摂取したりすると、薬物依存につながるおそれがあります
  • 12歳未満の小児は使用できません
  • 妊娠中または妊娠していると思われる方は、服用前に医師・薬剤師に相談してください(成分の一部が胎盤を通って胎児に移行することが知られており、分娩時の服用により新生児に呼吸抑制が現れたとの報告があります)
  • 授乳中の方は、服用しないか、授乳を避ける必要があります
  • 副作用として便秘が現れることがあります
  • 2026年5月から「指定濫用防止医薬品」の対象成分になっています

デキストロメトルファン

脳(延髄)の咳中枢に作用してせきを抑える成分で、非麻薬性鎮咳成分と呼ばれます。

  • 2026年5月から「指定濫用防止医薬品」の対象成分になっています

ジヒドロコデイン、デキストロメトルファン、プソイドエフェドリンなど指定濫用防止医薬品の成分を含む薬は、購入時には年齢や、ほかの店での購入状況などが確認され、大容量の製品や複数個を購入する場合は購入理由も確認されます(詳しくは「2026年5月施行|指定濫用防止医薬品とは?改正のポイントと購入時の注意点をわかりやすく解説」をご参照ください)。

チペピジン

脳(延髄)の咳中枢に作用してせきを抑える成分で、デキストロメトルファンと同じく非麻薬性鎮咳成分と呼ばれます。

かぜ薬にも、せき止め(鎮咳去痰薬)にも配合されています。

  • この成分を含む薬でアレルギー症状を起こしたことがある方は、服用しないでください
  • 服用により、尿が赤みがかった色になることがあります。成分の一部(代謝物)が尿中に排出されるためです

せき止めに共通する注意

  • せき止め(鎮咳去痰薬)には解熱成分が配合されておらず、熱を下げる効果は期待できません。発熱を伴うときは、呼吸器に細菌やウイルスなどの感染が起きている可能性があります
  • せき止めとかぜ薬、鼻炎用薬、アレルギー用薬、睡眠改善薬などを一緒に使うと、同じ成分や同じ働きの成分が重なることがあります。「せき止め」と「鼻炎の薬」は影響し合わない、というわけではありません
  • せきがひどく、たんに線状の血が混じる場合や、黄色や緑色に濁ったたんを伴う場合は、早めに医療機関を受診してください
  • たんを伴わない乾いたせきが続く場合は、間質性肺炎などの初期症状や、薬の副作用による可能性もあります。早めに医師・薬剤師に相談してください

⑥ 症状が複数ある(熱・せき・鼻水・のどの痛み)

こんなときは「総合風邪薬」が選択肢になります。

総合風邪薬には、解熱鎮痛成分・抗ヒスタミン成分・鎮咳成分・去痰成分など、複数の成分が配合されています。

ただし、総合風邪薬は成分が多い分、自分に必要のない成分まで摂取することになります。症状がはっきりしているなら、その症状に合った薬を選ぶほうがよいとされています。

薬を選ぶときの5つのチェックポイント

① パッケージの成分表示を確認する

「有効成分」の欄を見て、自分の症状に合った成分が入っているか確認しましょう。成分名がわからないときは、薬剤師や登録販売者に聞くのが一番です。

② セルフメディケーション税制の対象か確認

節税を活用したい方は、購入時のレシートなどの表示で、税制の対象か確認してください。対象品目は厚生労働省の公式リストに掲載されており、毎月更新されています。

③ レシートを保管する

税制対象薬を購入したら、レシートは必ず保管しておきましょう。商品名・金額・税制の対象である旨・販売店名・購入日が記載されている必要があります。

④ 他の薬との飲み合わせに注意

かぜ薬には通常、複数の有効成分が配合されています。ほかのかぜ薬や解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、鼻炎用薬、アレルギー用薬、睡眠改善薬などを一緒に使うと、同じ成分や同じ働きの成分が重なり、効き目が強くなりすぎたり、副作用が起こりやすくなったりするおそれがあります。複数の薬を使っている方は、必ず薬剤師に相談してください。

また、お酒は薬の吸収や代謝に影響し、肝機能障害などの副作用が起こりやすくなるため、かぜ薬や解熱鎮痛薬の服用前後は飲酒しないでください。

⑤ 持病がある方は特に注意

慢性の呼吸器疾患、心臓病、糖尿病などの持病がある方は、持病の悪化や合併症を避けるため、初めから医療機関を受診することが望ましいとされています。持病の治療中の方は、市販の風邪薬を使う前に、かかりつけ医や薬剤師に確認しましょう。

こんなときは病院へ!市販薬の限界を知ろう

市販の風邪薬はあくまで「症状を和らげる」ためのものです。

次のような症状がある場合は、市販薬で様子をみるのではなく、初めから医療機関を受診することが望ましいとされています。

  • 高熱がある
  • 黄色や緑色に濁った鼻水・たんが出る
  • のど(扁桃)の激しい痛みや腫れがある
  • 呼吸が苦しくなるほどの激しいせきがある

また、次のような場合も医療機関を受診してください。

  • 風邪薬を一定期間、または一定回数使っても症状がよくならない
  • 風邪薬を使ったあとに症状が悪化した
  • 急に熱が出た、症状が4日以上続く、症状が重い(風邪ではない可能性が高いとされています)
  • 2歳未満の乳幼児(医師の診断を受けることが優先とされています)

症状が強いときは、日数を待たずに受診してください。

まとめ

市販の風邪薬を上手に使うポイントをまとめると、次の3つになります。

  • 症状に合わせて選ぶ:総合風邪薬が最適とは限りません。熱・せき・鼻水など、自分の症状をよく確認してから選びましょう。
  • 注意点を確認する:年齢や持病、授乳中かどうか、ほかに使っている薬によって、使えない成分や注意が必要な成分があります。
  • レシートを保管する:セルフメディケーション税制の対象医薬品は、年間12,000円を超えた分が控除対象になります。購入のたびにレシートを保管しておきましょう。

ドラッグストアで薬を選ぶとき、ぜひこの記事を参考にしてみてください。わからないことがあれば、薬局にいる薬剤師さんに気軽に相談するのが一番の近道です。


※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的な診断や治療の代替となるものではありません。気になる症状がある場合や判断に迷う場合は、必ず医師・薬剤師にご相談ください。

参考文献・出典


執筆・監修

くすりやきゅー(薬剤師/病院・保険薬局で10年以上勤務)
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