熱中症予防のカギ「暑さ指数(WBGT)」とは?気温との違いと数値の見方を解説

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暑さ指数(WBGT)とは、気温だけでなく「湿度」と「日差しなどの熱」を取り入れた、熱中症予防のための指標です。数値が28を超えると熱中症の危険性が高まるとされ、環境省のサイトで毎日確認できます。

「今日は33℃か。昨日より低いから大丈夫かな」——夏になると、つい気温だけで暑さを判断してしまいがちです。ところが、気温がそれほど高くない日でも、湿度が高いと熱中症のリスクは大きく上がります

実際、2025年(令和7年)の5月〜9月には全国で10万人を超える方が熱中症で救急搬送され、調査開始以来最多となりました。熱中症は誰にでも起こりうる一方で、正しい指標を使って備えることで防ぎやすくなるものでもあります。

この記事では、熱中症予防の物差しである「暑さ指数(WBGT)」の意味と数値の見方、熱中症警戒アラートの活用法を、環境省・消防庁の情報をもとに解説します。

💊 関連記事:水分補給に使う飲み物の選び方は「スポーツドリンクと経口補水液の違いとは?熱中症予防の使い分けと注意点」で詳しく解説しています。

暑さ指数(WBGT)とは?気温と何が違う?

暑さ指数(WBGT:湿球黒球温度(Wet Bulb Globe Temperature))とは、熱中症の予防を目的として1954年にアメリカで提案された指標で、人体の熱のやりとりに影響が大きい次の3つの要素を取り入れて計算されます。

  • 湿度
  • 日射・照り返しなどの周囲からの熱
  • 気温

単位は気温と同じ「℃」で表されますが、気温とは別物です。環境省によると、屋外では次の式で算出されます。

暑さ指数(WBGT)= 0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度(気温)

注目したいのは、湿度(湿球温度)の比率が含まれていることです。湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、体の熱を逃がせなくなるため、同じ気温でも熱中症の危険性がぐっと高まります。「気温のわりに蒸し暑い日」こそ要注意、というわけです。

暑さ指数の数値はどう見ればいい?危険度の目安

環境省のサイトでは、日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針」に基づく危険度の目安が紹介されています。

暑さ指数(WBGT) 危険度 注意すべき生活活動の目安 行動の目安
31以上 危険 すべての生活活動でおこる危険性 外出はなるべく避け、涼しい室内へ。高齢者は安静にしていても危険
28〜31 厳重警戒 すべての生活活動でおこる危険性 外出時は炎天下を避け、室内でも室温の上昇に注意
25〜28 警戒 中等度以上の生活活動でおこる危険性 運動や激しい作業では定期的に十分な休息を
25未満 注意 強い生活活動でおこる危険性 一般に危険性は少ないが、激しい運動時には注意

また、日本スポーツ協会の「熱中症予防運動指針」では、暑さ指数31以上で運動は原則中止(特に子どもは中止)、28〜31では激しい運動を避け10〜20分おきに休憩し水分・塩分を補給する、とされています。

「28」と「31」がひとつの節目です。天気予報の気温とあわせて、暑さ指数もチェックする習慣をつけましょう。

熱中症警戒アラートとは?発表されたらどうする?

熱中症警戒アラートとは、危険な暑さが予測される日に環境省と気象庁が発表する情報です。

  • 熱中症警戒アラート府県予報区等内において、いずれかの地点で暑さ指数33に達することが予測される場合に、前日夕方または当日早朝に発表
  • 熱中症特別警戒アラート:都道府県内のすべての地点で暑さ指数35に達することが予測される場合に、前日の午後2時に発表(2024年から運用開始)

アラートが発表された日は、不要不急の外出を避ける、エアコンを適切に使う、運動は中止・延期する、周囲の高齢者に声をかけるなど、普段以上の予防行動が呼びかけられています。

最新の暑さ指数とアラートは、環境省の「熱中症予防情報サイト」でいつでも確認できます。

熱中症とはどんな症状?どう対処すればいい?

熱中症とは、高温多湿な環境で体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温の調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもることによって様々な症状がみられる状態です。

  • 軽い症状:めまい、立ちくらみ、筋肉のこむら返り、大量の汗
  • 中等度の症状:頭痛、吐き気、体のだるさ
  • 重い症状:意識がおかしい、けいれん、まっすぐ歩けない、体が熱い

症状に気づいたら、涼しい場所へ移動し、衣服をゆるめ、首すじ・わきの下・足のつけ根などを冷やし、水分と塩分を補給します。呼びかけに反応がない、自力で水分をとれない場合は、ためらわず救急車(119番)を呼んでください。

なお、2025年(5月〜9月)の救急搬送者のうち約57%は65歳以上の高齢者で、発生場所は住居が約38%と最多でした(消防庁の確定値より)。屋外での発生だけでなく、屋内で過ごしているときも注意が必要といえます。

日常でできる熱中症予防のポイントは?

暑さ指数を活用しつつ、日常では次のような予防が基本になります。

  • 暑さ指数をこまめに確認する:「今日は28超え」なら行動を調整する
  • 室内でもエアコン・扇風機を適切に使う:夜間も我慢しない
  • のどが渇く前に水分補給:大量に汗をかいたら塩分も一緒に(詳しくはこちらの記事へ)
  • 体を暑さに慣らしておく:本格的な暑さの前から、無理のない範囲で汗をかく習慣を
  • 体調が悪い日は無理をしない:睡眠不足や二日酔いの日はリスクが上がります

なお、職場の熱中症対策は2025年6月から法令上の義務になりました。改正労働安全衛生規則では、暑さ指数28以上または気温31℃以上の場所での一定時間の作業について、症状悪化を防ぐ体制づくり・手順の整備・周知が事業者に義務付けられています。働く人も「暑さ指数28」を自分ごととして意識したいところです。

よくある質問(FAQ)

Q. 暑さ指数(WBGT)はどこで確認できますか?

A. 環境省の「熱中症予防情報サイト」で、全国各地点の現在の値と予測値を確認できます。熱中症警戒アラートの発表状況も同じサイトで見られます。

Q. 気温が30℃以下なら熱中症の心配はいりませんか?

A. いいえ。暑さ指数は湿度の影響を大きく受けるため、気温が高くなくても湿度が高ければ危険度は上がります。梅雨明け直後など体が暑さに慣れていない時期も注意が必要です。

Q. 室内にいれば熱中症にならないのでしょうか?

A. いいえ、室内でも起こります。2025年(5月〜9月)の救急搬送では発生場所の最多が住居(約38%)でした。室温と湿度が高ければ室内でも発症します。エアコンを適切に使いましょう。

Q. 熱中症警戒アラートが出ていない日は安心してよいですか?

A. アラートは暑さ指数33以上が予測される場合の情報です。発表がない日でも暑さ指数が28を超えれば熱中症は起こりえます。日々の暑さ指数の確認が大切です。

Q. 子どもは大人より熱中症になりやすいですか?

A. 子どもは背が低く地面からの照り返しの影響を受けやすいうえ、体温調節機能が未発達なため注意が必要とされています。日本スポーツ協会の指針でも、暑さ指数31以上では子どもの運動は中止とされています。

Q. 熱中症かなと思ったら、まず何をすればよいですか?

A. 涼しい場所へ移動し、体を冷やし、水分・塩分を補給してください。呼びかけに反応がない、自力で水分をとれない場合は、すぐに救急車を呼んでください。

まとめ

  • 暑さ指数(WBGT)は気温・湿度・日射を取り入れた熱中症予防の指標で、湿度の影響も反映されている
  • 28以上で厳重警戒、31以上で危険。運動は31以上で原則中止
  • 熱中症警戒アラート(33以上)・特別警戒アラート(35以上)が出た日は普段以上の予防行動を
  • 2025年(5月〜9月)の救急搬送は10万人超と過去最多。高齢者・住居での発症が多い
  • のどが渇く前の水分補給と、大量発汗時の塩分補給を習慣に

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的な診断や治療の代替となるものではありません。気になる症状がある場合や判断に迷う場合は、必ず医師・薬剤師にご相談ください。

参考文献・出典

執筆・監修

くすりやきゅー(薬剤師/病院・保険薬局で10年以上勤務)
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