子どもへの粉薬の飲ませ方とは、服用する直前に少量の水や湯ざましを加えて混ぜ、スプーンやスポイトで口の中に入れ、そのあとに水や湯ざましなどを飲ませる方法が基本です。どうしても嫌がるときは、少量の飲食物に混ぜる、服薬補助ゼリーで包むといった方法があります。
せっかくもらってきた薬なのに、口に入れたとたんに吐き出してしまう。毎回の服薬に困っていませんか。
医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、赤ちゃんが薬を嫌がる原因として、薬の「苦味」「におい」「ざらつき」などを挙げています。そのうえで、どうしても飲まない場合に考えられる方法も紹介しています。
この記事では、PMDAの「くすりQ&A」や国立成育医療研究センターの資料などをもとに、薬の飲ませ方と、混ぜるときの注意点、服薬補助ゼリーの使い方を整理します。
子どもに粉薬を飲ませる基本の方法は?
PMDAは、粉薬(散剤)は通常、服用直前に少量の水や湯ざましを加えて混ぜ、スプーンやスポイトで口に入れ、その後に水や湯ざましなどを飲ませるとしています。あわせて、話しかけて飲ませ、上手に飲めたらほめてあげるとよいとしています。
それでも飲まないときは、次のような方法があります。
- ペースト状にする:少量の水で練って頬の内側や上あごに塗りつけ、水や湯ざましなどを飲ませる(PMDA)。国立成育医療研究センターも、乳児の場合は指先につけて、あごや頬の内側に塗る方法を紹介しています
- 少量の飲食物に混ぜる:次の章で説明します
- 服薬補助ゼリーで包む:後の章で説明します
幼児の場合は、国立成育医療研究センターは、病気を治すために薬を飲まなければならないことを説明することも大切だとしています。
なお、PMDAは、味やにおいを工夫して飲みやすくしている小児用の製剤もあるとし、個々の薬に適した方法は薬剤師に相談するよう呼びかけています。シロップ(水薬)の量り方や飲ませ方も、薬を受け取るときに薬剤師に確認してください。
薬を食べ物に混ぜるときの注意点は?
PMDAは、薬の味を隠すため、赤ちゃんが好む飲食物の少量に混ぜて一緒に飲ませる方法を紹介しています。また、冷たいと味覚が鈍るため、アイスクリームやシャーベットなどで包み込むようにして飲ませる方法も挙げています。
国立成育医療研究センターも、少量のアイスクリームに混ぜたり、少量の砂糖水に溶かしたりしてもよいとしています。また、溶かして飲ませるときは、飲み残しがないように注意するよう呼びかけています。
ただし、飲みやすくなることと、その薬に混ぜてよいことは別です。PMDAは、飲食物によっては薬のコーティングがはがれ、苦味が出たり、効果が弱くなったりする薬もあるとしています(次の章の表を参照)。国立成育医療研究センター薬剤部の一覧「粉薬と服薬補助食品の飲み合わせ」(2018年、PDF)でも、同じ食品で飲みやすくなる薬と飲みにくくなる薬がありました。
この一覧に載っているのは18種類の粉薬で、薬の名前は商品名で書かれています。一覧には、味や香りはメーカーによって異なることがあるとも書かれています。同じ成分でも、処方された薬が一覧と同じ製品とは限らないので、参考にする場合は薬剤師に確認してください。
たとえばこの一覧では、牛乳とココアは多くの薬で「飲みやすい」とされた一方、「飲みにくい」とされた薬もありました。また、同じ乳製品でも、ヨーグルトや乳酸菌飲料は、PMDAが混ぜるのを避ける「酸性度の強い飲食物」の例に挙げています。
食べ物を使う場合は、子どもの年齢や離乳食の進み具合、食物アレルギーに合ったものを選んでください。初めての薬で食べ物に混ぜたいときは、薬を受け取るときに薬剤師に相談してください。
薬に混ぜるのを避けたいものは?
PMDAは、飲食物に混ぜるときの注意点として次の5つを挙げています。
| 避けたいこと | 理由 |
|---|---|
| ミルクやおかゆなど主食に混ぜる | 薬の味のせいで主食が嫌いになると困るため |
| 酸性度の強い飲食物(オレンジジュース、スポーツドリンク、乳酸菌飲料、ヨーグルト等)に混ぜる | 薬のコーティングがはがれ、苦味が出たり、効果が弱くなったりする薬もあるため |
| 混ぜたまま長時間置いておく | 苦味が増したり、変質したりすることがあるため。飲ませる直前に混ぜる |
| 1歳未満の赤ちゃんに、はちみつに混ぜて飲ませる | 乳児ボツリヌス症の原因となる菌が含まれている可能性があるため |
| 熱いスープや食べ物に混ぜる | 薬の品質が損なわれることがあるため |
国立成育医療研究センターも、ジュースで溶かすと苦味が出る薬もあること、ミルクは薬を混ぜると味が変わり、ミルク嫌いになる場合があることを挙げています。
酸性の飲食物で苦味が出るかどうかは、薬によって違います。一方、1歳未満の赤ちゃんにはちみつを使わないことは、薬の種類に関係ありません。厚生労働省は、1歳未満の赤ちゃんにはちみつやはちみつ入りの飲料・お菓子などを与えないよう呼びかけています。ボツリヌス菌(芽胞)は熱に強く、通常の加熱や調理では死なないとしています。
服薬補助ゼリーなどの補助食品はどう使う?
PMDAは、薬局などで販売されている、服用を補助するゼリー状の商品に薬を包んで飲ませる方法を紹介しています。粉薬をそのまま口に入れるのを嫌がる場合の選択肢の一つです。
服薬を補助する商品には、ゼリータイプの「おくすり飲めたね」(龍角散)や、粉と水を混ぜて作る「おくすりパクッとねるねる」(クラシエ)などがあります。メーカーの説明は次のとおりです。
| 商品 | タイプ | メーカーの説明 |
|---|---|---|
| おくすり飲めたね(龍角散) | ゼリー | 錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤を包み込んで飲む。いちご味・ぶどう味は、薬とゼリーを混ぜずに包み込むようにして使う。いちご味・ぶどう味は抗生物質と混ぜると苦みが増すことがあるため、抗生物質や苦い薬にはチョコ風味を使うよう案内している |
| おくすりパクッとねるねる(クラシエ) | 粉と水を混ぜて作る | 付属のトレーで作り、薬を混ぜ合わせて服用する服薬補助食品。散剤(粉薬)・顆粒剤向け。1歳以上が目安で、咀嚼(そしゃく)ができる子どもに使う。抗生物質にも使えるが、コーティングを溶かして後味に苦味を感じる可能性があるとして、飲み合わせは医師または薬剤師に相談するよう案内している |
「おくすりパクッとねるねる」と、お菓子の「ねるねるねるね」は別の商品です。クラシエは、お菓子の「ねるねるねるね」は酸味が強く、薬の苦味をより強める可能性があることや、カルシウムを含むため薬によっては効果を阻害する可能性があることから、服薬補助には適していないとしています。お菓子で代用しないようにしましょう。
前の章のとおり、酸性度の強い飲食物では苦味が出たり効果が弱くなったりする薬もあります。どの商品・どの味を使うかは、商品の対象年齢や使い方の表示を確認したうえで、飲んでいる薬に使えるかを薬剤師に相談してください。
錠剤への切り替えや、薬の加工はしてもいい?
粉薬やシロップから錠剤に切り替えたいときは、医師・薬剤師に相談してください。錠剤を割る・つぶす、カプセルを開けるといったことも、自己判断で行わず、事前に薬剤師に確認してください。
噛んで飲むタイプの錠剤については、子ども向けのチュアブル錠の記事で解説しています。
薬を吐いた・飲み忘れたときはどうする?
吐いてしまったとき
薬を吐いたあとにもう一度飲ませるかどうかは、自己判断で決めず、処方時に指示があればそれに従い、なければ処方した医師や薬局に相談してください。相談するときは、薬の名前、飲ませた時刻、吐いた時刻、そのあとの様子を伝えると話が早くなります。
飲み忘れたとき
厚生労働省と日本薬剤師会のパンフレット「薬の知識」は、飲み忘れに気付いたらすぐ飲むようにし、次に飲む時間が近づいている場合はその分は飲まずに、次回からいつものように飲むよう案内しています。2回分をまとめて飲んではいけないとしています。
同じパンフレットでは、薬の種類によっては飲み忘れたときの対応が異なる場合があるとして、薬を受け取るときに、飲み忘れたときの対応方法を専門家に聞いておくよう勧めています。
PMDAも、赤ちゃんはお腹がいっぱいのときはなかなか薬を飲んでくれず、眠っていることも多いため、いつ飲ませるか迷うこともあるとしています。そのようなときの対処方法も、医師または薬剤師に確認しておくよう呼びかけています。食前・食後などの意味は、薬を飲むタイミングの記事をご覧ください。
薬はどう保管すればいい?
「薬の知識」は、薬は湿気や光、熱の影響を受けやすいため、湿度の高くない、直射日光が当たらない、高温にならない場所で保管するよう呼びかけています。冷蔵庫で保管するように指示された薬は、凍らせないように注意するとしています。
また、誤飲を防ぐために薬は子どもの手が届きにくいところに置き、飲んだあとの戻し忘れにも気をつけるよう呼びかけています。保管方法がわからない薬は、薬袋や説明書の指示を確認し、薬局に相談してください。
家庭での薬の保管方法は家庭での薬の正しい保管方法の記事で、子どもが薬を誤って飲んだときの対応は子どもの薬の誤飲の記事で解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q. 薬をジュースに混ぜてもいいですか?
A. 注意が必要です。国立成育医療研究センターは、ジュースで溶かすと苦味が出る薬もあるとしています。PMDAも、オレンジジュースなど酸性度の強い飲食物に混ぜることは避けるよう呼びかけています。
Q. ミルクや離乳食に混ぜてもいいですか?
A. ミルクやおかゆなどの主食には混ぜないでください。PMDAは、薬の味のせいで主食が嫌いになると困るとしています。国立成育医療研究センターも、ミルクに混ぜるとミルク嫌いになる場合があるとしています。
Q. 薬を混ぜたアイスは作り置きしてもいいですか?
A. 作り置きは避けてください。PMDAは、飲食物に混ぜたまま長時間置くと苦味が増したり変質したりすることがあるため、飲ませる直前に混ぜるよう呼びかけています。
Q. 薬を飲んですぐに吐いてしまいました。もう一度飲ませるべきですか?
A. 自己判断でもう1回分を追加しないでください。処方時の指示に従い、指示がなければ処方した医師や薬局に相談してください。
Q. 飲ませ忘れたら、次に2回分を飲ませてもいいですか?
A. 2回分をまとめて飲ませないでください。厚生労働省と日本薬剤師会のパンフレットは、薬の種類によっては飲み忘れたときの対応が異なる場合があるとして、薬を受け取るときに対応方法を聞いておくよう勧めています。
まとめ
- 粉薬は、直前に少量の水で混ぜてスプーンやスポイトで飲ませ、そのあとに水などを飲ませるのが基本
- 食べ物に混ぜるときは少量で、飲ませる直前に。その薬に混ぜてよいかは薬剤師に確認する
- ミルクやおかゆなどの主食、酸性度の強い飲み物、熱いものには混ぜない。1歳未満にはちみつは使わない
- 服薬補助ゼリーなどの補助食品は、商品の表示を確認し、薬との組み合わせを薬剤師に相談してから使う。お菓子の「ねるねるねるね」で代用しない
- 吐いたときは自己判断で追加しない。飲み忘れても2回分をまとめて飲ませない
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的な診断や治療の代替となるものではありません。気になる症状がある場合や判断に迷う場合は、必ず医師・薬剤師にご相談ください。
参考文献・出典
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「くすりQ&A Q8 赤ちゃんに医師から処方された粉薬を飲ませるよい方法を教えてください。」 https://www.pmda.go.jp/safety/consultation-for-patients/on-drugs/qa/0008.html
- 国立成育医療研究センター「お薬Q&A」 https://ncchd.go.jp/hospital/sickness/medicine/index.html
- 国立成育医療研究センター 薬剤部「粉薬と服薬補助食品の飲み合わせ」(2018年) https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/medicine/nomiawase.pdf
- 厚生労働省「ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000161461.html
- 厚生労働省・日本薬剤師会「薬の知識」(令和8年度「薬と健康の週間」パンフレット) https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001746129.pdf
- 龍角散「おくすり飲めたね」 https://www.ryukakusan.co.jp/okusurinometane/
- クラシエ「おくすりパクッとねるねる」 https://www.kracie.co.jp/foods/okashi/okusuri/
執筆・監修
くすりやきゅー(薬剤師/病院・保険薬局で10年以上勤務)
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