ノロウイルスによる感染性胃腸炎とは、ノロウイルスに感染し、腸の中でウイルスが増えて、吐き気・嘔吐・下痢・腹痛などを起こす病気です。一年を通して発生しますが、特に冬に流行します。
夜中に子どもが突然吐いて、布団も床も汚れてしまった。片付けながら「これ、家族にもうつるのでは」と不安になることもあります。
ノロウイルスは、少ない量のウイルスでも感染するとされています。厚生労働省は、患者の便や吐いたものを適切に処理し、感染を広げないよう呼びかけています。
この記事では、厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」やこども家庭庁の保育所向けガイドラインなどの公的な資料をもとに、家庭でできる対策と、受診・登園の目安を整理します。
ノロウイルスの感染性胃腸炎とはどんな病気?
厚生労働省のQ&Aによると、ノロウイルスは手指や食品などを介して口から感染し、腸で増えて嘔吐・下痢・腹痛などを起こします。一年を通して発生していますが、特に冬に流行し、毎年11月頃から2月の間には乳幼児や高齢者の間で流行するとされています。また、こども家庭庁の保育所向けガイドラインでは、乳幼児だけでなく学童や成人にも多くみられ、再感染もまれではないとされています。
| 項目 | 公的資料での説明 |
|---|---|
| 潜伏期間 | 24〜48時間(厚労省Q&A)。保育所・学校向けの資料では12〜48時間 |
| 主な症状 | 吐き気、嘔吐、下痢、腹痛。発熱は軽度 |
| 経過 | 通常、症状が1〜2日続いた後に治り、後遺症もないとされる |
| 治療 | 効果のある抗ウイルス剤はなく、対症療法が行われる |
| ワクチン | 現在使用可能なものはない(保育所向けガイドライン2023年10月一部修正版・学校保健会の解説令和5年度改訂版の記載。2026年10月確認) |
健康な人は軽い症状で回復するとされる一方、厚生労働省は「子どもやお年寄りなどでは重症化したり、吐ぶつを誤って気道に詰まらせて死亡することがあります」としています。また、感染しても症状が出ない場合や、軽い風邪のような症状で済む場合もあるとされています。
感染性胃腸炎の原因はノロウイルスだけではなく、ロタウイルスやアデノウイルスなどもあります。厚生労働省のQ&Aでは、ノロウイルスによる病気かどうかは症状だけでは特定できないとされています。家庭で子どもが吐いたときは、原因がわからない段階でも、この記事で紹介する手洗いや片付け方を行ってください。
食べ物が原因の食中毒や、市販の下痢止めの注意点については食中毒と市販の下痢止めの記事で詳しく解説しています。
ノロウイルスはどうやって家族にうつるの?
こども家庭庁の保育所向けガイドラインでは、ノロウイルスの主な感染経路は「経口感染、飛沫感染及び接触感染」とされています。厚生労働省のQ&Aは、感染経路の「ほとんどが経口感染」としたうえで、人から人へうつる胃腸炎(感染症)の原因になる経路として、次の2つを挙げています。
- 患者の便や吐いたものに大量に含まれるウイルスが、人の手などを介して口に入る
- 家庭など人同士の接触が多いところで、飛沫感染などで人から人へ直接うつる
少ない量でも感染する
こども家庭庁の保育所向けガイドラインでは、ノロウイルスは「100個以下という少量のウイルスでも、人に感染し発病する」とされています。同ガイドラインには、患者の吐いたものや便には1グラムあたり100万〜10億個ものウイルスが含まれていると言われているとも書かれています。
乾いた吐物からもうつる
吐いたものや便の処理が不十分なまま乾燥すると、ウイルスが空気中に漂い、それが口に入って感染することがあります。厚生労働省のQ&Aには、12日以上前にノロウイルスに汚染されたカーペットを通じて感染した事例も紹介されています。
治ったあとも、しばらく便に出る
症状が治まっても、ウイルスはしばらく便に出続けます。厚生労働省のQ&Aでは「通常では1週間程度長いときには1ヶ月程度ウイルスの排泄が続くことがある」、保育所向けガイドラインでは「便中に3週間以上排出されることがある」とされています。
家族にうつさないために、家庭でできることは?
手洗いは「石けんと流水」が基本
厚生労働省のQ&Aでは、手洗いは手指に付いたノロウイルスを減らす最も有効な方法とされています。トイレの後、食事の前、調理の前、下痢の処理やおむつ交換の後(手袋をしていても)には手を洗いましょう。
- 爪を短く切り、指輪などを外す
- 石けんを十分に泡立てて洗う
- 流水で十分にすすぐ
- 清潔なタオルかペーパータオルで拭く
石けんそのものにはノロウイルスを直接失活させる効果はありませんが、手の汚れを落とすことで、ウイルスを手指からはがれやすくするとされています。
アルコール消毒だけで済ませない
厚生労働省のQ&Aは、消毒用エタノールによる手指消毒について「石けんと流水を用いた手洗いの代用にはなりません」としています。すぐに手洗いができない場合に、あくまで手洗いの補助として使うものと位置づけられています。
アルコール・塩素系・逆性石けんなど、消毒薬ごとの違いは消毒薬の使い分けの記事で解説しています。
症状がある人は料理をしない
厚生労働省は、下痢や嘔吐などの症状がある人は、食品を直接取り扱う作業をしないよう呼びかけています。ここでいう「食品取扱者」には、家庭で調理を行う人も含まれるとされています。
同Q&Aは食品を扱う人の注意点として、家庭に下痢・嘔吐などの症状がある子どもや介護が必要な高齢者がいる場合は、汚物の処理を含め、トイレ・風呂などを衛生的に保つ工夫が求められるとしています。
よく触る場所は塩素系で拭く
ノロウイルスは、ドアノブ、カーテン、リネン類、日用品などからも検出されるとされています。厚生労働省のQ&Aでは、こうした環境の消毒には次亜塩素酸ナトリウムなどが有効とされています。次亜塩素酸ナトリウムは金属を腐食させるため、消毒後は薬剤を十分に拭き取るよう注意が示されています。
調理器具は、洗剤で十分に洗ったあと、塩素濃度約200ppmの次亜塩素酸ナトリウムで浸すように拭く方法や、熱湯(85℃以上)で1分以上加熱する方法が示されています。
子どもが吐いたら、どう片付ければいい?
ここでは、厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」のQ20に沿って、吐いたものや便を処理する手順を紹介します。
- 使い捨てのガウン(エプロン)、マスク、手袋を着ける
- ウイルスが飛び散らないように、ペーパータオルなどで静かに拭き取る(市販の凝固剤なども使える)
- 拭き取ったあとの床を、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度約200ppm)で浸すように拭き、その後水拭きする
- おむつはすぐに閉じて便を包み込む
- 使ったペーパータオルやおむつはビニール袋に密閉して捨てる。袋には、廃棄物が十分に浸る量の次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度約1,000ppm)を入れることが望ましいとされる
- ウイルスが屋外に出ていくよう、空気の流れに注意しながら十分に換気する
乾燥すると空気中に漂うため、吐いたものや便は乾かないうちに速やかに処理することが重要とされています。また同Q&Aは、手袋をして直接触れないようにしていても、処理の後は手を洗うよう呼びかけています。
消毒液の濃度について:厚生労働省のQ&Aは、吐いたものを拭き取ったあとの床に約200ppmを示しています。一方、こども家庭庁の保育所向けガイドラインは、嘔吐物・排泄物が付着した箇所について、嘔吐物などを十分に拭き取ってから0.1%(1,000ppm)で消毒する方法を示しています。この記事の手順は厚生労働省のQ&Aに、消毒液の薄め方は同じく厚生労働省の「介護現場における感染対策の手引き」に基づいています。保育所などでは、施設の定める手順を確認してください。使用する製品の濃度・希釈方法・使用上の注意も確認しましょう。
衣類や布団が汚れたら
厚生労働省のQ&A(Q21)では、次の方法が示されています。どの場合も、まず付着した吐いたものや便を、ウイルスが飛び散らないように取り除くところから始めます。
- 汚物を取り除いたら、洗剤を入れた水の中で静かにもみ洗いする(しぶきを吸い込まないよう注意)
- 下洗いしたものは85℃・1分間以上の熱水洗濯が適している。熱水洗濯ができない場合は、次亜塩素酸ナトリウムでの消毒が有効
- 汚物を取り除いたあと、すぐに洗えない布団は、よく乾燥させ、スチームアイロンや布団乾燥機を使うと効果的
- 下洗いをした場所も、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度約200ppm)で消毒したあと、洗剤で掃除する
乾燥させるだけで消毒が終わるわけではありません。布団や機器の取扱説明書も確認してください。次亜塩素酸ナトリウムには漂白作用があります。薬剤の「使用上の注意」を確認してください。
消毒液は家庭用の塩素系漂白剤でも作れる
厚生労働省のQ&Aでは、家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用できるとされています(使用にあたっては「使用上の注意」を確認)。
以下は、厚生労働省「介護現場における感染対策の手引き 第3版」に示されている、原液の濃度が6%の場合の希釈の目安です。使用する製品の表示で原液の濃度を確認してください。
| 濃度 | 希釈の目安(原液濃度6%の場合) | この記事で紹介した使う場面 |
|---|---|---|
| 0.02%(200ppm) | 水2Lに約8mL | 拭き取ったあとの床、下洗いした場所、調理器具など |
| 0.1%(1,000ppm) | 水2Lに40mL | 使ったペーパータオルなどを捨てる袋 |
厚生労働省の介護現場の手引きと、こども家庭庁の保育所向けガイドラインには、次の注意が示されています。
- 酸性の物(トイレ用洗剤など)と混ぜない。有毒な塩素ガスが発生する
- 噴霧(スプレー)はしない。吹きかけると病原体が舞い上がるうえ、吸い込んだり目や皮膚に付いたりすると有害
- 熱湯で薄めない
- 薄めた液は時間がたつにつれて有効な濃度が下がる。作った液は可能な限りその日のうちに使う
次亜塩素酸ナトリウムには、金属を腐食させる性質もあります。金属製品には自己判断で使用せず、使う前に製品の表示や添付文書、対象物の使用上の注意をよく読んでください。
厚生労働省のQ&Aは、消毒液の容器は誤って飲むことがないよう、消毒液であることをはっきり明記して保管するよう呼びかけています。また国民生活センターは、飲料用ペットボトルに洗剤や消毒液などを移し替えて誤飲する事故が起きているとして、飲料用ペットボトルへの移し替えはやめるよう注意を呼びかけています。消毒液は飲料用ペットボトルに移し替えて保管せず、使用する製品の指示に従って容器や取り扱い方法を確認してください。
片付けに使う使い捨て手袋・マスク・ペーパータオル・ビニール袋・塩素系の消毒剤などのそろえ方は、家庭の感染症そなえリストの「嘔吐物の処理セット」の節にまとめています。
吐いたり下痢をしたりしているとき、家庭ではどうする?
水分は「少量から」
ノロウイルスには効果のある抗ウイルス剤がないため、治療は症状をやわらげる対症療法になります。厚生労働省のQ&Aは、特に体力の弱い乳幼児や高齢者では、脱水症状を起こしたり体力を消耗したりしないよう、水分と栄養の補給を十分に行うよう呼びかけています。
厚生労働省「上手な医療のかかり方」プロジェクトの資料では、嘔吐・下痢のホームケアとして次の点が示されています。
- 吐いたら、すぐに飲ませない
- 吐いたものや汚れた服はすぐに片付ける
- 水分補給は少量から始め、その後は嘔吐・下痢のたびに水分とカロリーを補給する
- 経口補水液は、軽症から中等症の脱水のときに使う
つまり、吐いた直後は無理に飲ませず、少量から水分補給を始めて、その後も吐いたり下痢をしたりするたびに補っていく、という流れです。少量でも飲めない、飲んでもすぐに吐く状態が続く場合は、下の「受診の目安」を確認してください。
消費者庁は、経口補水液は医師、管理栄養士等と相談し、指導に沿って使用するよう示しています。使うかどうか迷うときは相談し、製品の表示に従って使ってください。経口補水液とスポーツドリンクの違いについては、スポーツドリンクと経口補水液の違いの記事で解説しています。
食事は消化のよいものを少しずつ
こども家庭庁の保育所向けガイドラインでは、家庭へのアドバイスの例として、おかゆ、野菜スープ、煮込みうどん(短く刻む)などを少量ずつゆっくり食べさせること、入浴できない場合はお尻だけでもお湯で洗い、柔らかいタオルでそっと押さえながら拭くことが挙げられています。
下痢止めは自己判断で使わない
厚生労働省のQ&Aでは、ノロウイルスについて「止しゃ薬(いわゆる下痢止め薬)は、病気の回復を遅らせることがあるので使用しないことが望ましいでしょう」とされています。薬を使うかどうかは、医師・薬剤師に相談してください。
脱水のサインと受診の目安は?
すぐに119番する目安
消防庁「救急車利用マニュアル」では、こども(15歳以下)について、次のようなときは「すぐに119番」とされています(おなか・意識などに関係する項目を抜粋)。
- 激しい下痢や嘔吐で水分が取れず、食欲がなく意識がはっきりしない
- 嘔吐が止まらない
- 便に血がまじった
- 激しいおなかの痛みで苦しがる
- 意識がない(返事がない)、またはおかしい(もうろうとしている)
- けいれんが止まらない、けいれんが止まっても意識がもどらない
- くちびるの色が紫色、顔色が明らかに悪い
- 生まれて3か月未満の乳児の様子がおかしい
同マニュアルは、このほかお母さんやお父さんから見て、いつもと違う場合、様子がおかしい場合も119番の対象に挙げています。
すぐに受診する目安
以下の項目に当てはまる場合でも、上の「すぐに119番する目安」に該当するときは、救急要請を優先してください。
厚生労働省「上手な医療のかかり方」の資料では、「危険な嘔吐・下痢の見分け方」として次の場合はすぐに受診とされています。
- 突然、勢いよく「オエーッ」と3回以上吐く
- 噴水状嘔吐、胆汁性嘔吐(胆汁を吐く)
- ひきつけたり、意識が低下したりする
- 体重が減る(10%以上は重症)
- 血便が出る
- 強い腹痛がある
脱水のサイン
同資料では、脱水を疑うサインとして次の7つが挙げられています。
- ぼんやりして、呼吸が荒い
- 口の中が乾き、目が落ちくぼむ
- 皮膚が冷たく、色が悪い(青白い、網目状、チアノーゼ)
- 皮膚をつまんだとき、戻るのに時間がかかる
- 手足の先を押さえて離したとき、色が戻るのに2秒以上かかる
- 12時間以上おしっこが出ない、泣いても涙が出ない
- 体重が3%以上減る
これらは受診を考える目安です。記載した回数や時間、体重の減り方に達するまで待ってよいという意味ではありません。119番の目安に該当する場合は、電話相談を待たずに救急要請してください。
迷ったときの相談先
夜間・休日に判断に迷ったときは、子ども医療電話相談(#8000)に相談できます。都道府県ごとの窓口と受付時間は、厚生労働省「子ども医療電話相談事業(♯8000)について」で確認できます。
救急車を呼ぶかどうか迷うときの救急安心センター事業(#7119)は、消防庁によると全国42地域で実施されています。実施している地域と利用時間は消防庁「救急安心センター事業(♯7119)ってナニ?」の一覧で確認できます。一覧には「15歳未満は♯8000へ」としている窓口もあるため、子どもの相談先はお住まいの地域の案内で確認しておいてください。
保育園・幼稚園・学校はいつから行ける?
保育所の場合
こども家庭庁の保育所向けガイドラインでは、ノロウイルス感染症の登園のめやすは「嘔吐、下痢等の症状が治まり、普段の食事がとれること」とされています。流行期には、前日に嘔吐していた子どもの登園は控えてもらうよう保護者に伝えることが重要ともされています。
ウイルス性胃腸炎(ノロウイルス感染症)は、同ガイドラインで「医師の診断を受け、保護者が登園届を記入することが考えられる感染症」に分類されています。ただし、登園届や意見書は一律に作成・提出が必要となるものではなく、扱いは市区町村の支援のもと、地域の医療機関や医師会などと協議して決めることとされています。通っている園の決まりを確認してください。
学校・幼稚園の場合
日本学校保健会「学校において予防すべき感染症の解説」(令和5年度改訂)では、感染性胃腸炎は「その他の感染症(第三種の感染症として扱う場合もある)」に分類されています。「その他の感染症」はあらかじめ特定の病気を定めたものではなく、出席停止の指示をするかどうかは、感染症の種類や地域・学校での流行の状況などを考慮して判断するもので、必ず出席停止を行うべきものではないとされています。
出席停止の指示があった場合、第三種の感染症の出席停止期間の基準は「病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで」とされています(学校保健安全法施行規則第19条)。
同解説では、登校(園)の基準として「下痢、嘔吐症状が軽減した後、全身状態の良い者は登校(園)可能」とされています。
登園・登校を再開したあとも手洗いを
保育所・学校向けの資料はいずれも、回復後もウイルスが便に出続けることがあるため、排便後やおむつ交換後の手洗いを続けることを求めています。症状が治まったあとも、家族のトイレの後の手洗いは続けてください。
よくある質問(FAQ)
Q. ノロウイルスに効く薬はありますか?
A. 厚生労働省のQ&Aによると、現在ノロウイルスに効果のある抗ウイルス剤はなく、通常は対症療法が行われます。脱水症状がひどい場合は、病院で輸液(点滴)などの治療が必要になります。厚生労働省「上手な医療のかかり方」の資料でも、抗菌薬(抗生物質)はウイルスには効かないとされています。
Q. 消毒用アルコールはノロウイルスに効きますか?
A. 厚生労働省のQ&Aでは、消毒用エタノールによる手指消毒は石けんと流水を用いた手洗いの代用にはならないとされています。調理器具や環境の消毒には、次亜塩素酸ナトリウムや加熱による処理が示されています。
アルコールと塩素系などの違いは、消毒薬の使い分けの記事で解説しています。
Q. 次亜塩素酸ナトリウムで手を消毒してもいいですか?
A. 使用しないでください。こども家庭庁の保育所向けガイドラインの消毒の表では、次亜塩素酸ナトリウムは「手指には使用不可」とされ、目や皮膚に付着すると有害とされています。手は石けんと流水で洗いましょう。
Q. 病院でノロウイルスかどうか検査してもらえますか?
A. 厚生労働省のQ&Aによると、便を使う「ノロウイルス抗原検査」は、3歳未満、65歳以上の方などを対象に健康保険が適用され、医師が医学的に必要と認めた場合に行われます。ただし、感染していても陽性にならない場合があり、感染していないことを確かめることはできないとされています。
Q. 家族が吐いたあと、どれくらいの間気をつければいいですか?
A. 厚生労働省のQ&Aでは、症状がなくなっても通常1週間程度、長いときには1か月程度ウイルスの排泄が続くことがあるとされています。症状が治まったあとも、トイレの後や調理の前の手洗いを続けてください。
Q. ロタウイルスの胃腸炎とは違うのですか?
A. どちらも嘔吐と下痢が主な症状のウイルス性胃腸炎です。日本学校保健会の解説では、ノロウイルス感染症は秋から冬に多く乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層にみられ、ロタウイルス感染症は冬から春に多く乳幼児に多いとされています。ロタウイルスにはワクチンがあり、2020年10月から定期接種の対象になっています。ノロウイルスのワクチンはありません。
Q. 吐いた布団は捨てたほうがいいですか?
A. 厚生労働省のQ&Aでは、まず付着した汚物をウイルスが飛び散らないように取り除く方法が示されています。洗えるものは静かに下洗いし、85℃・1分間以上の熱水洗濯か、次亜塩素酸ナトリウムで消毒します。すぐに洗濯できない布団は、汚物を取り除いたあと、よく乾燥させ、スチームアイロンや布団乾燥機を使うと効果的とされています。乾燥させるだけで消毒が終わるわけではないので、布団や機器の取扱説明書も確認してください。
Q. 子どもが吐いたら、すぐに水を飲ませたほうがいいですか?
A. 厚生労働省「上手な医療のかかり方」の資料では、吐いたらすぐに飲ませず、水分補給は少量から始め、その後は嘔吐・下痢のたびに水分を補給することが示されています。水分が取れず意識がはっきりしないなど119番の目安に当てはまるときは、救急要請を優先してください。脱水のサインが見られる場合や判断に迷う場合は、医療機関や#8000に相談してください。
まとめ
- ノロウイルスは一年を通して発生し、特に冬に流行します。乳幼児や高齢者だけでなく、学童や大人もかかり、少ない量のウイルスでも感染するとされています
- 手洗いは石けんと流水が基本です。消毒用アルコールは手洗いの代用にはならないとされています
- 吐いたものは手袋・マスク・エプロンを着けて静かに拭き取り、塩素系の消毒剤で拭いて、乾く前に処理し、換気します。消毒剤は酸性の物と混ぜず、噴霧もしないでください
- 激しい下痢や嘔吐で水分が取れず意識がはっきりしない、嘔吐が止まらない、便に血がまじったなどのときは、すぐに119番とされています。119番の目安に当てはまるときは救急要請を優先し、勢いよく何度も吐く、強い腹痛などはすぐに受診の目安です。回数などの数字に達するまで待つ必要はありません。判断に迷うときは#8000に相談できます
- 保育所の登園のめやすは「嘔吐、下痢等の症状が治まり、普段の食事がとれること」。回復後もウイルスは便に出るため、手洗いを続けましょう
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的な診断や治療の代替となるものではありません。気になる症状がある場合や判断に迷う場合は、必ず医師・薬剤師にご相談ください。
参考文献・出典
- 厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」(最終改定 令和3年11月19日) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html(参照 2026.10.2)
- こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」2023年5月一部改訂・2023年10月一部修正(手洗い・消毒の基本は冊子13ページ、ノロウイルス感染症は60ページ、消毒の種類と方法は72〜73ページ、下痢・嘔吐時の対応は77〜78ページ) https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/cd6e454e/20231010_policies_hoiku_25.pdf(参照 2026.10.2)
- 厚生労働省老健局「介護現場における感染対策の手引き 第3版」(令和5年9月)(嘔吐物・排泄物の処理は冊子14〜15ページ、次亜塩素酸ナトリウム消毒液の目安は20ページ) https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001149870.pdf(参照 2026.10.3)
- 公益財団法人日本学校保健会「学校において予防すべき感染症の解説〈令和5年度改訂〉」(第三種の感染症の出席停止期間の基準は16・49ページ、感染性胃腸炎は54〜55ページ、「その他の感染症」のQ&Aは75ページ、学校保健安全法施行規則は84ページ) https://www.gakkohoken.jp/book/ebook/ebook_R050080/data/670/src/670.pdf(参照 2026.10.2)
- 厚生労働省「上手な医療のかかり方」プロジェクト 資料(主な症状と救急のかかり方) https://kakarikata.mhlw.go.jp/assets/pdf/slide.pdf(参照 2026.10.2)
- 総務省消防庁「救急車利用マニュアル」(令和7年10月発行) https://www.fdma.go.jp/publication/portal/items/portal002_japanese.pdf(参照 2026.10.2)
- 厚生労働省「子ども医療電話相談事業(♯8000)について」 https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/tp1010-3.html(参照 2026.10.3)
- 総務省消防庁「救急安心センター事業(♯7119)ってナニ?」 https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/appropriate/appropriate007.html(参照 2026.10.3)
- 独立行政法人国民生活センター「飲料用ペットボトルへの移し替えはやめましょう!−洗剤や殺虫剤などの誤飲事故が発生しています−」(2026年2月4日) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260204_2.html(参照 2026.10.2)
- 消費者庁リーフレット「経口補水液ってなに?」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_special_dietary_uses/assets/food_labeling_cms206_20230927_06.pdf(参照 2026.10.2)
最新の流行状況を確認するには
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS)「感染症発生動向調査週報(IDWR)」 https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/
執筆・監修
くすりやきゅー(薬剤師/病院・保険薬局で10年以上勤務)
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