「薬のネット購入」がもっと便利に―2026年5月から要指導医薬品がオンラインで買えるようになりました

コラム

2026年5月1日から、要指導医薬品は、薬剤師の判断のもと、ビデオ通話などで情報提供・指導を受けてインターネットで購入できるようになりました。ただし、市販の緊急避妊薬が該当する「特定要指導医薬品」は、これまでどおり店頭での対面販売が必要です。

「薬局に行く時間がない」「近くに薬局がない」―そんな悩みを抱える方に関係のある制度変更です。これまで要指導医薬品は、薬局やドラッグストアの店頭でしか買えませんでした。

ただし、すべての薬が対象になるわけではありません。
対象となる薬の区分と、購入の流れ・注意点を解説します。

※本記事は市販薬の販売制度について説明します。医師の診療・処方を受ける場合とは区別してお読みください。

そもそも「要指導医薬品」とは?

薬局やドラッグストアで買える市販薬(OTC医薬品)は、「要指導医薬品」と「一般用医薬品」に分かれています。一般用医薬品はさらに第1類・第2類・第3類の3つに分かれます。

(出典:厚生労働省 WEBマガジン)

要指導医薬品とは、薬剤師による対面などでの情報提供と、薬学的知見に基づく指導が必要なものとして、厚生労働大臣が指定する医薬品です。医療用医薬品から市販薬に移行して間もないものなどが該当します。毒薬・劇薬にあたる医薬品も、指定の対象に含まれます。

(出典:医薬品医療機器等法 第4条第5項第3号・第6項、厚生労働省 WEBマガジン)

市販薬の分類について詳しく知りたい方はこちら→「市販薬には「ランク」があるーOTC医薬品の分類をわかりやすく解説」

これまでの「薬のネット販売」はどういう状況だったの?

一般用医薬品(第1類・第2類・第3類)は、以前からインターネットで販売できました。第1類医薬品は、原則として薬剤師による情報提供が義務づけられています。

一方、要指導医薬品は、販売時に薬剤師が対面で情報提供することが義務づけられ、店舗での販売に限られていました。インターネットでは販売できなかったのです。

(出典:厚生労働省 WEBマガジン)

2026年5月から何が変わった?

ポイント内容
いつから?2026年5月1日〜
何が買える?要指導医薬品(特定要指導医薬品を除く)。実際にネットで買えるかは、販売する薬局・店舗の取り扱いによる
条件は?薬剤師がオンラインで対応できると判断し、情報提供・指導(ビデオ通話など)を行うこと
買えない薬は?対面での販売が特に必要として国が指定した「特定要指導医薬品」(市販の緊急避妊薬が該当)

薬剤師の説明をビデオ通話などで受けて買えるようになった

2025年の薬機法改正により、要指導医薬品は、薬剤師の判断にもとづき、オンライン服薬指導で必要な情報提供などを行ったうえで、インターネットで販売できるようになりました。

この記事でいうオンライン服薬指導とは、映像と音声で互いの様子を確認しながら話す方法(例:ビデオ通話)などによる情報提供・指導のことです。

(出典:厚生労働省 WEBマガジン、厚生労働省医薬局長通知 令和7年12月26日付 医薬発1226第2号)

説明を受けずに買うことはできません

ネットで注文するだけで、薬剤師の説明を受けずに購入を完了することはできません。要指導医薬品では、必要な情報提供・指導を行えない場合や、適正な使用を確保できないと認められる場合は、販売が禁止されています。

(出典:医薬品医療機器等法 第36条の6)

一部の薬は引き続き店頭での対面販売が必要

「特定要指導医薬品」に指定された品目は、ネットでは販売できません。厚生労働省の要指導医薬品一覧(2026年7月31日更新)では、市販の緊急避妊薬(有効成分:レボノルゲストレル)が該当します。

特定要指導医薬品も、薬剤師の説明はビデオ通話などで受けられます。ただし、販売は店頭での対面が必要で、説明をした薬剤師と、対面で販売する薬剤師は同じ人でなければなりません。

(出典:厚生労働省「要指導医薬品一覧」、令和7年厚生労働省告示第280号、厚生労働省医薬局総務課長通知 令和8年4月17日付 医薬総発0417第2号)

緊急避妊薬(アフターピル)の購入方法と注意点について詳しくはこちら→「緊急避妊薬(アフターピル)は薬局で買える?購入の流れと注意点」

実際にどうやって買うの?(購入の流れ)

法令と通知にある確認・説明の要件を、購入者の視点で整理すると次のようになります。特定要指導医薬品は、このネット購入の流れの対象外です。

  1. 要指導医薬品のネット販売を行う薬局・ドラッグストアのサイトで薬を選ぶ
  2. 薬剤師が、使う人の年齢やほかに使っている薬などを確認する
  3. 薬剤師から、書面や画面に表示された資料を使い、ビデオ通話などで使い方・注意点の説明と指導を受ける
  4. 説明した薬剤師が、説明を受けた本人であることを確認したうえで販売する

(出典:医薬品医療機器等法 第36条の6、厚生労働省医薬局長通知 令和7年12月26日付 医薬発1226第2号)

オンラインで服薬指導ができるかどうかは、薬剤師がその都度判断します。また、情報提供や指導ができないときや、適正な使用を確保できないと認められるときは、要指導医薬品は販売されません。これは店頭で買う場合と同じルールです。

(出典:厚生労働省医薬局長通知 令和7年12月26日付 医薬発1226第2号、医薬品医療機器等法 第36条の6)

この変更で何が変わるの?

  • 来店しなくても、要指導医薬品を購入できる場合がある
  • 購入前に、薬剤師にビデオ通話などで疑問を相談できる

厚生労働省は、この改正で多くの要指導医薬品について、これまでよりもアクセスが簡易になるとしています。

(出典:厚生労働省 WEBマガジン)

注意しておきたいことは?

  • 薬剤師による説明(ビデオ通話など)を受けられないと購入できません
  • 特定要指導医薬品など、ネットで買えない薬があります(購入前に確認を)
  • 法律上ネット販売ができる要指導医薬品でも、実際にネットで購入できるかどうかは、販売する薬局・店舗の取り扱いによります。購入前に販売元に確認してください
  • 薬局や薬店の許可を取得せずに医薬品を販売するサイトは違法です。許可を受けた薬局・薬店のサイトを利用しましょう

(出典:医薬品医療機器等法 第36条の6、厚生労働省医薬局長通知 医薬発1226第2号、厚生労働省「一般用医薬品の販売サイト一覧」)

よくある質問(FAQ)

Q. 要指導医薬品は、どのネットショップでも買えますか?

A. 要指導医薬品のネット販売を行うには、薬局・ドラッグストアが自治体に届出などを行う必要があります。また、販売できるのはその薬局・店舗に貯蔵または陳列している医薬品です。購入するときは、許可を受けた薬局・薬店のサイトかどうかを確認してください。

(出典:厚生労働省医薬局長通知 医薬発1226第2号、厚生労働省医薬局総務課長通知 医薬総発0417第2号)

Q. 薬の説明は誰がしてくれるのですか?

A. その薬局・店舗の薬剤師です。ビデオ通話などで説明をした薬剤師が、説明を受けた本人であることを確認したうえで販売します。

Q. 市販の緊急避妊薬(アフターピル)もネットで買えますか?

A. 市販薬としてはネット販売の対象外です。市販の緊急避妊薬は「特定要指導医薬品」に該当し、店頭での対面販売が必要です。説明をビデオ通話などで受けた場合も、説明した薬剤師が来店した本人を確認し、対面で販売します。

なお、医師によるオンライン診療で緊急避妊薬の処方を受ける仕組みは別にあります。厚生労働省の指針では、初診からオンライン診療を受ける場合、医師が1錠のみ院外処方し、研修を受けた薬剤師のいる薬局で調剤を受け、薬剤師の面前で服用することとされています。

(出典:厚生労働省医薬局総務課長通知 医薬総発0417第2号、厚生労働省「『オンライン診療の適切な実施に関する指針』に基づく緊急避妊に係る取組について」)

Q. オンラインで相談したのに、買えないことはありますか?

A. あります。オンラインで服薬指導ができるかどうかは、薬剤師がその都度判断します。また、適正な使用を確保できないと認められるときは、店頭と同じく販売されません。

Q. 第1類医薬品もビデオ通話が必要になったのですか?

A. 第1類医薬品すべてに、一律にビデオ通話が必要になったわけではありません。今回、オンライン服薬指導を経てネットで買えるようになったのは、要指導医薬品(特定要指導医薬品を除く)です。第1類〜第3類の一般用医薬品は、以前からインターネットで販売されています。第1類医薬品は、原則として薬剤師による情報提供が義務づけられています。なお、指定濫用防止医薬品には、年齢や購入する数量・容量に応じた別のルールがあります。指定対象は、エフェドリンやコデインなど8成分と、その水和物・塩類を有効成分とする製剤です。外用剤や、生薬を主たる有効成分とする製剤は除かれます。詳しくは「2026年5月施行|指定濫用防止医薬品とは?改正のポイントと購入時の注意点をわかりやすく解説」をご覧ください。

(出典:厚生労働省「第一類医薬品の販売等における情報提供の取扱について」、厚生労働省医薬局長通知 医薬発0213第1号・医薬発1226第2号)

Q. 正規のネット販売サイトかどうかは、どう確かめればよいですか?

A. 厚生労働省の「一般用医薬品の販売サイト一覧」を、販売元の確認に利用できます。ただし、一般用医薬品の販売サイトの一覧なので、掲載されているだけで要指導医薬品も取り扱っているとは判断できません。要指導医薬品の取扱いとオンラインでの説明への対応を、販売元に確認してください。

要指導医薬品のネット販売を案内するサイトには、対象となる薬の陳列状況の写真や使用期限の情報などを見やすく表示することも求められています。

(出典:厚生労働省「一般用医薬品の販売サイト一覧」、厚生労働省医薬局長通知 医薬発1226第2号)

まとめ

  • 2026年5月1日から、要指導医薬品(特定要指導医薬品を除く)は、薬剤師の判断のもと、ビデオ通話などで情報提供・指導を受けてネットで購入できる仕組みができた(実際に購入できるかは販売元に確認)
  • 要指導医薬品では、必要な情報提供・指導を受けずに購入を完了することはできない
  • 市販の緊急避妊薬が該当する特定要指導医薬品は、これまでどおり店頭での対面販売が必要
  • オンラインで服薬指導ができるかどうかは、薬剤師がその都度判断する
  • 許可を受けた薬局・薬店のサイトを利用し、気になることは購入前に薬剤師に相談する

制度の最新情報は、厚生労働省「令和7年の薬機法等の一部改正について」でご確認いただけます。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的な診断や治療の代替となるものではありません。気になる症状がある場合や判断に迷う場合は、必ず医師・薬剤師にご相談ください。

参考文献・出典


執筆・監修

くすりやきゅー(薬剤師/病院・保険薬局で10年以上勤務)
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